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妄執教師
急転
 啓一は仁科の淡々とした口調に苛立ちを覚えながらも、あくまで冷静にいようと努めた。激情に身を任せて、孝司の居場所を聞き出せなかったら話にならない。一度は下げた頭をもう一度仁科に下げることは、啓一のプライドが許さなかった。
「じゃあ孝司は片山と一緒なのか?彼が助け出したのなら、今すぐに居場所を…」
「それは無理だ」
「何故だ!?」
 孝司が片山と逃げ出したのなら、すぐに保護すればいい。もしかしたらすでに警察に駆け込んでいるのかもしれない。いや、孝司の体調を考えてまずは病院だろうか。あらゆる場面は想定出来るのに、仁科の顔色は一向に優れない。蒼褪めたままだ。啓一は仁科を急かすように声を荒げた。
「仁科!」
「……長瀬くんに性的な欲望を抱いていたのは私だけではない」
「…まさか……!」
「ああ。片山も以前から長瀬くんに対して、邪な想いを抱いている」
 視線を上げた仁科はきっぱりと宣言した。何か思い当たる節があるらしい。その後も話は続いた。

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