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妄執教師
暴行
 突然、片山の力強い腕が足枷の鎖を引き寄せた。勢いよく引かれバランスを崩した孝司は、背中からベッドへと倒れこむ。片山は嫌がる孝司の抵抗を抑え込み、足枷の鍵を外そうとする。孝司は上体を起こし、今にも枷を外そうとする片山の腕に向かって思い切り噛みついた。
「ぐっ…!!」
 片山が一瞬怯んだ隙に、孝司は掴まれた鎖を取り戻そうとしたが、片山の動きの方が早かった。
「っ……孝司!!」
 怒声と衝撃は同時に孝司の身体を襲った。ベッドに仰向けに倒れ、頭の後ろを打った時にはあまり痛みを感じなかった。それよりも目の前の男に恐怖を覚える。殺される…と本能が叫んだ。
 倒れた孝司の上に伸し掛かった片山は、怯える孝司の顔を何度も殴り続けた。手でガードしようにも、あまりにも重い衝撃に意識が朦朧とする。
 視界が乱れ、頭の中にモヤが広がり始めた頃、ようやく片山は拳を止めた。それからはっとした表情になり、すぐさま倒れたままの孝司を抱き起すと、両腕でしっかりと抱きしめた。
「ああ…ごめんね……お前を傷つけるつもりはなかったんだ…。でもお前が、俺の言うことを聞かないから…思わず…っ、孝司…ごめんな…」
 片山の胸に抱かれたままの孝司の意識は少しずつ堕ちていき、次第に闇へと霧散する。片山が何を言っているのかは、最後まで聞き取れなかった。

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