平凡な俺の生き方 裏庭のベンチ 「へーっくしゅ」 誰かに噂されてるような気がする。 俺こと瀬川 和樹は、いつものように風紀の仕事をサボリ、裏庭にあるベンチへ向かっていた。 委員長や辰兄には悪いと思ってるが、俺だってやりたくて引き受けた仕事じゃない。 あ、辰兄ってのは副委員長サマのあだ名である。てっちゃんがそう呼んでたので、俺もそう呼ぶことにした。 俺のサボリスポットの1つである校舎裏にあるベンチには、基本的に誰も寄りつかない。 日当たりは悪いし、どうせサボるなら屋上に行くからだ。 俺は人が来ない場所で堂々とサボる派だから、ここのベンチはうってつけなのだ。 俺は意気揚々といつもの角を曲がり、ベンチへ辿り着いた…のだが。 「え?」 何とそこには先客がいた。 ベンチに仰向けに寝転がり、気持ち良さそうに爆睡してる男。そして…。 「ヨダレ出てんぞ、こいつ」 赤茶色の髪に、すっと通った鼻筋。眠っていても整った顔をした、いわゆるイケメンなのだが、口から流れるヨダレが全てを台無しにしていた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |