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帰宅途中、乗り換えの駅を過ぎいつもの調子でDSを取り出そうとした浪は、鞄の中にDSがないのに気付いて慌てて学校に引き返していた。

西山にハートのジュエルを披露した後、机に入れっぱなしにしていたのだ。
もちろん浪の机の中にあるはずだが、見回りの教師に没収されたら非常にまずい。DS本体に名前なんて書いていないので、電源を入れて目に入るのはまずタクトだろう。そうしたら、花木が疑われてしまう。


急いで高校にたどり着いたのは、17時を過ぎた夕暮れ時だった。グランドでは野球部とサッカー部が練習しているらしく、部活棟の方にチラホラ人はいたが、校舎に人影はない。

窓から夕日が入り込んで一面オレンジ色の廊下を、足早に二階の教室へと向かう。
ガラガラとドアを開けると、幸い中には誰もいなかった。
ほっとして自分の机に付くと、中に手を入れる。

「!」

机の中は見事に空だった。
驚いた浪が焦って周辺や、脇にかかっていたサブバッグの中まで調べてみたが、どこにも見当たらない。

職員室に行った方が良いのだろうか、でもあのDSが自分のものだって証拠は――――




「岸上が探してるのはコレ?」


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あきゅろす。
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