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前作から待望の3年、今作も発売日に隣町のおもちゃ屋に並んだ。

小学生の頃から発売日には隣街のこのおもちゃ屋に来るのが浪の習慣となっていた。
高校生にもなって、発売日の行列に並ぶほどノラクエにはまっている自分が少し恥ずかしくて、帽子のツバを引っ張って顔を見えないようにする。
周りは大人から子供まで千差万別だ。学校を休まないように、とノラクエの発売日は土曜日に設けられているらしい。なので浪もジーンズにトレーナーというラフな格好に、愛用の青いマフラーを巻き、11月の寒空の下、朝6時に起きてこの列に並んでいた。
辺りは興奮が入り混じり、皆が今か今かと待っている。

ようやく朝の7時になり、ガラガラと店のシャッターが上がると、行列がひと際活気立った。
いつもレジの親父しかいないおもちゃ屋に臨時の店員もいて、ものの30分も待たずにノラクエを手にすることができた。

もっとも浪は予約をしていたから、わざわざ7時に並ばなくても良かったのだが。


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あきゅろす。
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