ねこと俺の攻防2





「ただいまー」


スーツだけでは若干肌寒くなってきた今日この頃。
ひさしぶりの熱燗をひっさげて、ノブを回した先には、ねこがすまし顔で俺を見上げている。

「今日も出迎えご苦労さま」なんつって靴をぬごうと屈んだその時、おもむろにねこがその場で横になった、ポスンと。


「ッ!」

…このパターンは忘れもしない、例のお色気作戦じゃねぇか。
既にパターン化しつつある、この一連の動作は激しく手を伸ばしたい行動に駆られるのだが、最近の俺は、やつのすばらしい毛並みの誘惑に耐え、思い切ってまたいで部屋に上がる。

で、静かに振り返る。


そうすると、まじでガーンって顔をするねこに会えるのだ。
そのまま、なんでもないように寝室に向かって歩きだすと、すかさずそんなことはさせない!とばかりにズサーって俺の前へ躍り出て、「さあなでろ」と言わんばかりに俺を見上げるふたつのブルーグリーンの輝き。
それも断腸の思いで無視する俺、すかさず俺を追い抜いて寝ころぶねこ、ねこをまたいで寝室へ入る俺。その攻防はベッドまで続く。


結局最後は、先ほどの動作を甘噛されながら怒られつつ、やつの気が済むまでわしゃわしゃと撫でてやることになるんだけど、あのしょんぼりした顔が忘れられなくて、ついつい意地悪をしてしまう俺だった。





おわり
――――
だんだんねこの扱いに慣れていく南田でした。


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あきゅろす。
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