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「・・・・あつい」


翌日、左頬から左肩にかけて乗っている湯たんぽのせいで寝返りも打てず、もんもんとしていた俺は、壁時計が7時になるのを確認して、ようやく、やつに声をかけた。

「どいてくれないか?」

起きる気配のない湯たんぽのお腹のあたりをこしょこしょと触ると、不快だったのか、ようやく顔をこちらに向けた。目が昨日の2分の1ぐらいになって、明らかにボーっとしているようだが、それがまたやけにかわい……じゃなかった、

「んにゃあ」

ゆっくりとした動作で俺から降りようとするねこを手伝ってやる。俺が起き上がるのを見ると、ぬくもりの残る枕の上で丸くなった。





・・・・・・・・・・・・ねこっていいよな、俺も眠たい。





それからどこを触っても微動だにしないねこに、掛け布団をかけてやり、先ほどから10分も経過している時計を見て慌てて、スーツに着替える。
ふと足元になにかやわらかいものを踏んだような感覚がして、確認してみると、靴下に3cmほどのダンボールの破片がくっついていた。


「ダンボール?」



気づけば部屋中に点々とダンボールの破片が散らばっている。

「なんだ?」

不思議に思いつつもその破片を拾いながら辿っていくと、寝室と台所を隔てる引き戸の15cmほど開いた隙間の向こうに、見るも無残な麦とホップの残骸を発見するのだった。


それはもちろん、昨日即席で作った猫ベッドに違いなかった。


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あきゅろす。
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