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「あ〜!!こんな所にいたぁ〜!!」


城を眺めているといきなり声が聞こえてきた。
声のした方を見てみると女の子がこちらに走ってくるのが見えた。


「シュウ、いきなり消えないでよ!びっくりしたじゃん!!」

「…なっ……?!」


びっくりしたのはこっちだ…
…どういうことだ…?
何で…この子が…


「あ…アリア…?」

「は?!当たり前でしょ!!」


頬を膨らませ、腕を組む女の子、アリア…。



当たり前?!そんなはずがねぇ!!

だってアリアは…

俺達が作ったキャラクターだ!!


何故それが生きている?!動いている?!


何故俺を知っている…?!



「ちょっとシュウ!!聞いてる?!」

「うっ…」


アリアが顔を覗き込んでくる…


めちゃくちゃ可愛い…



「あ…
なぁ…此処って…一体何処なんだよ…?」

「はぁ?!何言ってんの?!あんた自分の生まれ故郷も忘れちゃった訳?!」

「生まれ故郷…?」

「はぁ…」


アリアは盛大な溜め息をつく。


「ルーシャ…ルーシャの町でしょ!此処は!!」


その名前を聞いた途端、脳内がフラッシュバックされる。

『始まりはルーシャの町。ここは主人公とアリアの生まれた町で、城の王子は2人の幼なじみなんだ。』


ミツルが話していた、あのゲームの設定。

…似ている。
いや似過ぎではないだろうか…?

まさか俺…


『何さっきからぶつぶつ言ってんのさ…しかも何その格好…』


アリアが俺の服を珍しげに眺める。
俺の格好はっていうと、学ラン…。


「そんな変な格好じゃ傷だらけになるよ!!これに着替えて来て!!」

そう言って突き出してきたのは紙袋。受け取ってみると結構な重みがある。

「しばらく帰って来れないんだから、みんなに挨拶しなさいよね!あとこれ!」


突き出されたそれに、両手を差し出す。かちゃりと音を立てて手の上に置かれたそれは、日の光を反射してきらきらと輝く。


「剣…?」

「あんたのよ。おじさまが用意しておいてくれたみたい。」


信じられるか?
俺が今置かれている状況に…
自分自身、信じられない…

でも…どうやら事実なんだ…

今、確信した。
俺は…


俺達が作ったゲームの中にいる…


何故かは分からない。
ただ言えるのは…

俺は旅に出なければいけない…

このゲームの進行上、そういうことになっている。

俺は主人公。
主人公なんて柄じゃないんだが…

俺はこの先、旅に出て、数多の敵を倒していかなければならない。

それは主人公たる故の定めと言えよう…。






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