LOAD 5 「あ〜!!こんな所にいたぁ〜!!」 城を眺めているといきなり声が聞こえてきた。 声のした方を見てみると女の子がこちらに走ってくるのが見えた。 「シュウ、いきなり消えないでよ!びっくりしたじゃん!!」 「…なっ……?!」 びっくりしたのはこっちだ… …どういうことだ…? 何で…この子が… 「あ…アリア…?」 「は?!当たり前でしょ!!」 頬を膨らませ、腕を組む女の子、アリア…。 当たり前?!そんなはずがねぇ!! だってアリアは… 俺達が作ったキャラクターだ!! 何故それが生きている?!動いている?! 何故俺を知っている…?! 「ちょっとシュウ!!聞いてる?!」 「うっ…」 アリアが顔を覗き込んでくる… めちゃくちゃ可愛い… 「あ… なぁ…此処って…一体何処なんだよ…?」 「はぁ?!何言ってんの?!あんた自分の生まれ故郷も忘れちゃった訳?!」 「生まれ故郷…?」 「はぁ…」 アリアは盛大な溜め息をつく。 「ルーシャ…ルーシャの町でしょ!此処は!!」 その名前を聞いた途端、脳内がフラッシュバックされる。 『始まりはルーシャの町。ここは主人公とアリアの生まれた町で、城の王子は2人の幼なじみなんだ。』 ミツルが話していた、あのゲームの設定。 …似ている。 いや似過ぎではないだろうか…? まさか俺… 『何さっきからぶつぶつ言ってんのさ…しかも何その格好…』 アリアが俺の服を珍しげに眺める。 俺の格好はっていうと、学ラン…。 「そんな変な格好じゃ傷だらけになるよ!!これに着替えて来て!!」 そう言って突き出してきたのは紙袋。受け取ってみると結構な重みがある。 「しばらく帰って来れないんだから、みんなに挨拶しなさいよね!あとこれ!」 突き出されたそれに、両手を差し出す。かちゃりと音を立てて手の上に置かれたそれは、日の光を反射してきらきらと輝く。 「剣…?」 「あんたのよ。おじさまが用意しておいてくれたみたい。」 信じられるか? 俺が今置かれている状況に… 自分自身、信じられない… でも…どうやら事実なんだ… 今、確信した。 俺は… 俺達が作ったゲームの中にいる… 何故かは分からない。 ただ言えるのは… 俺は旅に出なければいけない… このゲームの進行上、そういうことになっている。 俺は主人公。 主人公なんて柄じゃないんだが… 俺はこの先、旅に出て、数多の敵を倒していかなければならない。 それは主人公たる故の定めと言えよう…。 [*前へ][次へ#] |