Gate of ... テスト終了後 テスト終了を告げるチャイムが鳴り響く。 軽く見直しをしていた暁は、最後に名前の記入だけ確認して提出した。 「終わったー!!」 叫び声は暁の隣の列から聞こえた。具体的に言うと、窓側後ろから二つ目の席に突っ伏してる男子生徒から聞こえた。 さらに言うなら、その声は暁のよく知る男子に似ていて、出席番号順で並んでいる今の席順からしても、窓側後ろから二つ目──つまり前から五つ目というのは、確実に暁の友人が座っているハズの場所である。 「ケンちゃ──」 「そして死んだぁーっ!!」 暁が声をかけるより早く、賢治は再び絶叫する。 「五月蝿い」 すかさず飛んできた声は、賢治の後ろの席の風間のものだった。 冗談抜きで『うざい』と思っているのが読み取れて、暁は思わず苦笑する。 「それに、恥ずかしいよ。ケンちゃん」 「ぐふっ!?お前らヒデェ!マブダチの言葉に酷く傷つけられました、慰謝料を請求します!」 「「申請は却下」」 「ヒドッ!?」 中学時代から変わらない、実に自分達らしいやり取りだと思う。 「ケンジうるさ〜い」 変わったことがあるとすれば、それは賢治の前でニヤニヤしてる結花だろう。何せ、つい半月ほど前にはこの世界にいなかったのだから。 「結花までヒドス!」 「呼び捨てにしてんじゃないわよ」 「ぐはっ!?」 賢治と絶妙なコンビネーションを繰り広げる結花が、今まで何処にもいなかった存在だなんて暁は信じられなかった。 「ヒロ君、テストどうだった?」 「可もなく不可もなく。まぁいつも通りだ」 暁の質問にそう答えた風間は、筆記具を鞄に押し込むと時計を確認して立ち上がる。 「帰るわ」 「えー、テストも終わったんだし遊ぼうぜぇ!?」 「悪ぃな、バイトだ」 賢治の提案に首を振ると、風間は片手を挙げて歩き出す。 「バイト、頑張ってね」 「おう。……とりあえず大平は勉強しとけ」 「うるせ!さっさとバイトに行きやがれ!」 賢治からの反応には、目に見えて呆れた風に肩をすくめてみせた。 「じゃね、ヒロポン」 「誰がヒロポンだ。桃井、お前も勉強しとけよ」 「まぁほどほどにね」 結花は多分勉強しそうにない。 風間はそれを見てから教室を出ていった。 「おっし!そんじゃゲーセンでも行くか!」 「……げーせん?」 立ち上がった賢治の声に首を傾げる結花。 暁は苦笑して「遊び場だよ」と耳打ちした。 「おーっ、遊び場ね。行く行く!」 「城島も行くよな?」 「あー…、ごめん。今日は帰って勉強するよ」 「勉強って、お前……テスト終わったじゃん!」 賢治の言うことは正しい。テストは終わった。 「1日目が、ね。明日もあるじゃん。大体、僕は明日の英語のがヤバめだからさ」 「暁、行かないの?じゃあ私もやめとこうかな」 「どえっ、結花まで!?」 結花の言葉に大袈裟に頭を抱えて見せる。 「くっそぅ!城島、てめーは真面目か!?」 ビシッ、という擬音がよく似合う賢治の指差し。 「悪いけど真面目だよ。それが売りだし」 だが賢治のそれを、暁は軽く笑って受け流した。 [*前へ][次へ#] |