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短編
水蜜桃の頃
短編

*妾腹の弟と現当主である兄 夜ごと行われる秘め事*

*異母兄弟
*レトロ
*見せつけ


−−−−−−−−−−−−
−−−−−−−−−−−−

 敷地の外れ、母屋の裏手にその蔵は建っていた。


パンパン

土蔵の壁に乾いた音がこだましている。
中では白シャツに黒い学生ズボンの少年が和服の男に圧し掛かられる姿があった。


「ひ‥兄さまっ‥やめ、止めて‥‥痛いっ、」

「‥‥‥‥。」

分厚い土壁は音を遮断する。
中には肌を打つパンパンという音と、少年の啜り泣く声だけが響いていた。


何が兄の気に障ったのか解らない。


揺すぶられる少年の白い頬に、一粒、涙が零れた。


 学校から帰って今までしたことと云えば、本を読んだことと女中の奈津子と喋ったくらいか。

奈津子は先週から女中頭の菊のかわりに祐輝に付いた新参の女中だ。歳が近いということもあり、付き合い易くしている。
そんな奈津子は隙を見付けて折り紙を折るのが楽しみというので、今日はついでにと折り紙の本を借りてきてやったのだった。


今頃一日の仕事を終え、嬉々として項をめくっているのだろうか。


そんなことをふと考えた時、一際強く突き上げられた。

「‥っ、」

息が詰まる。

殆ど馴らされぬまま突き入れられたそこが引き攣れるように痛んだ。
いつもなら寧ろ焦らされ泣いて懇願するまで蕩かされるのに。

「おやおや。」

背後で兄が呟いた。

「痛い痛いという割には随分気持ち良さそうだ。痛いのもいいとは‥とんだ淫乱で困ったものだね。」

その言葉はあながち嘘ではなかった。
行為に慣れた身体は僅かな快感をも拾い出す。
実際祐輝の中心は、歓喜を示してピンと立ち上がっていた。
兄は意地悪くも、それを指し示して言ったのだ。

「‥‥や、やだ‥兄さま‥」

「嘘を言うんじゃあないよ。」

腰を強く掴んでいた片手が離れ、濡れたそこを掴んだ。

「ほら此処はこんなにも気持ち良さそうじゃないか。」

そのまま扱き始める。
クチャクチャと濡れた音が響く。それが自分から出ていると思うととてつもない羞恥が祐輝を襲った。

「やだ‥兄さまっ‥どうか、どうかゆるし、許してぇ‥」

「おやおや。祐輝。そんな風にしたら駄目だよ。

−−−益々嗜虐心を煽るだけだ。」


瞬間、


「ひぎゃっ!」

「‥くっ、」


尿道口に爪を立てられた。

鋭い痛みに身体が強張る。
と、同時に後腔が締め付けられ、そこに兄の逐情の証が叩き付けられた感触が広がった。


「まだ、だよ。」


ぐるりと身体を反される。
目の前にある兄の顔が微笑う。
家にある証の、下ろした長い前髪。その奥で平素は理知的な瞳が獰猛な光を燈してギラリと光っていた。

「はうっ!」

今度は向かい合う体勢で突き入れられた。
反動で先程注がれた物が溢れていく。
臀部から太股を伝う生温い感触。
それが滴り落ちるより早く、再び律動が開始された。

兄の逞しい腰が打ち付けられる。

土蔵内に響く音。

と、その中に


ガラガラガラ

「祐輝さん。」


異音が混じった。


「祐輝さん。夜の水差しをお持ちしました。」

奈津子の声だ。

それに気付いた途端、ざっと血の気が引いた。

いつもは二階に寝ている為か、奈津子は入って直ぐ右側にある階段に向かって呼び掛けているようだった。
だが、今この場所は極間近い。
茶箪笥一つ挟んで直ぐ向こうが戸だ。

一瞬だけ動きを止めた兄の唇が−−−−吊り上がった気がした。

「祐輝さ‥‥?」

パンッ

兄が動き出した。
しかも−−−−絶頂に近いような激しい動き。
音が響く。
怪訝そうな奈津子の声に、灯りが続いた。
扉からの直接の目隠しとなる茶箪笥の直ぐ向こうに、浮かび上がる奈津子の姿が見えた。


パンッ


「‥‥っ!」


息を飲む音が聞こえた。
咄嗟に目を逸らす。
まるでそれを咎めるように、一際強く兄が穿った。

パンッ

「っぁ!」

堪え切れずに声が洩れてしまった。
閉じた瞼からも涙が零れ出す。


パン

パン

パン


土蔵内にこだます、音。

涙する自分にも、愕然と固まる奈津子にもまるで頓着せぬ様子で、兄は腰を打ち付け続ける。

「奈津子。」

そのまま、口を開いた。

「そこで見ていなさい。」

「っ!!」

「だ、旦那様‥」

狽ろたえた奈津子の声。
泣きそうな、声。

だがそれにも兄は冷たい声で

「そこで見ていなさい。」

そう繰り返す。


「兄さま‥っ!!」


叫ぶと同時に深く打たれた。

裸の腰が、尻にぴたりと着く。

「祐輝は淫乱だから‥こうして見られるのも好きだろう?」

「いやっ、厭だっ!」

「嘘を言いなさい。ここはこんなになっているじゃないか。」

「んぅっ!」

兄の長い指が、立ち上がる祐輝自身を持ち上げた。

−−−まるで見せ付けるように。

「やだ‥‥あぅっ!」

そのまま先刻酷くした尿道口をあやすように撫ぜられて。

「ぁ、くぅ‥ぅっ、」

濡れた音が響き渡った。
律動も再開される。


「やだ‥‥やだ‥やだ‥っ!」

「見せてやりなさい。」

えぐるように兄が腰を回す。
身体が跳ねるのが止められない。

「祐輝のイヤラシイ姿。祐輝がどんな風に喘いで、どんな風にイヤラシク往くのか。」

「や、だぁ‥!」

パンッ

パンッ

乾いた音の中に、押し殺して泣くような声が混じって聞こえた。


「厭だぁ!!みな‥見ないでぇ‥!」


瞼の裏に光が点滅する。


「奈津子。見なさい。」


「やだ、やだ‥見ないで!見るなぁ‥っ!!」


ビクビクと震える中心を、一際強く擦られた。




「いやだあぁ‥!!」




パタパタ、と畳に落ちる音が右耳に響いた。


左耳からは


「この家に私以外の味方など−−−要らないんだよ。」


クスクス


そう荒い息に紛れて呟く兄の声が聞こえた気がした。



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