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妬かれる幸せ

何だか今日は機嫌が悪い。そんな感じ…


何時もの様に自分の執務机の前にあるソファに座り、その前にある机の上の大量の書類の処理を手伝ってくれている
なんとも無いように、普段通りしているつもりなのだろうが、彼の身に纏っている不機嫌オーラは隠せていないようだ
無意識なのだろうけど、ソレを指摘する事はどうも憚られる
しかし何時までたってもこうギスギスした雰囲気の中、執務を続けたくない。余計に疲れるだけだ


何が原因なのか?
今朝から今にかけて自分が彼に気に食わない行いをしたのだろうか?


執務の手を休めて脳を違う方向にフル稼動させる。考えれば考える程眉間に皺が増えていくのが解った

どうも心当たりが、無い

無意識の内にやっていたのなら話は別だか(ソレには心当たりがありすぎて、断定出来ない)
原因が解らないなら、本人に聞くのが早いかも知れない

「ガーイ」
「ん?こっちの書類ならもうすぐまとめ終わるけど?」
「いえ、そうではなくて……少し休憩しましょう。働き過ぎは良くありませんから、ね」
「旦那から言い出すなんて珍しいな。じゃあ紅茶でも淹れてくるよ」

ほら、そうやってなんでも無い様に会話を交わす間でも決して此方を見ようとしない
トントンと、手元の資料を軽くまとめて山積みにされている書類に重ねると、足早に給湯室へと行ってしまった
必要最低限の会話以外避けているようだ。いや、避けているのだろう
小さなポットと、二つのカップを持って戻ってきた時も。いつもは何も言わなくても隣に座るのに、今日は向かい合う形でガイはソファに座った
あからさまに避けているその態度に大きめの溜息をつく
それにガイが小さく肩を揺らしたのを、ジェイドは見逃さなかった

「ガイ、何に不満があるのかちゃんと言って下さい」
「何の事……」
「とか、私からしらばっくれる事が出来ると思う程、貴方は愚かでは無いと思いますが?」
「………」

話を逸らそうとして先に先手を打たれてしまった。こうなると逃げ道は無い
ポットに手を添えたままガイは固まってしまった

「私でも、全てが解る訳ではない。重要な事はちゃんと言葉にして下さい」
「……………絶対、馬鹿にするし…」
「…いやですねぇ。真剣な貴方を馬鹿にしたりはしませんよv」
「うさんくさい」

スパッと返されて少々傷付く。まぁ自業自得なのだろうけど
まだ言おうか言うまいか迷っているガイの頬に手を伸ばし、そっと触れる
小さく体を揺らしたが、逃げる事はしなかった
先を絆すように見詰めていると、ポツリポツリと小さな声で語りだした

「今日…昼間にさ、陛下と謁見の間で話してだろ…」
「あぁ……報告する事がありましたしね。しかし何故それを?」
「ブウサギ達の散歩の報告をしたくて行ったんだけど…陛下はジェイドと話してたし…。二人の話ってさ、国家機密事項もあるから早々邪魔出来ないしで……結局引き返したんだ

なんだか……俺の入れる雰囲気じゃなかったし」

偶然一緒に居ただけ。偶然その現場を見てしまっただけ
それなのに同じタイミングで笑う二人を見ただけで、ツキリと胸が痛んだ。これ以上ソレを見ていたくなくてその場を離れた
その後はなんだかジェイドに対する態度がぎこちなくなってしまった

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あきゅろす。
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