小説
池袋特集!新宿の情報屋『折原臨也』
「どうだ?そっちの方は」
「・・・全然ダメでした・・・」
来良学園から帰った二人は、肩を竦めながら会社への帰路へついていた。
「そうか・・・こっちもだ。・・・あーあ、今日も収穫なしか!」
―すみません・・・。
景子は心の中で正宗に謝ると、再びあの高校生二人のことを思い出す。
―あの二人はやっぱり黄巾賊のリーダーとはなんらかの関係はあるんだ・・・。
―カラーギャングのリーダーと友達だったなら怖がることはあると思うけど・・・・・・あんなに必死に何かを護ろうとしてる・・・。
―きっと、あの子達に私たち大人が余計な邪魔はしちゃいけないんだ。
勝手に大人としての使命を決定し、心でガッツポーズをする。
あの短時間で、それだけの情報をつかめる景子も景子だが・・・。
「? どうかしたか?」
「いえ!なんでもありませんっ!」
―しばらく、あの二人のこと調べてみよう。
―あの子達の力になれるかも・・・。
―そーだ、臨也くんなら何か知ってるかな・・・?
頭に高校時代の友人のことを思い浮かべ、考える。
―あれ?そういえば、あれから臨也くんにあってないな・・・。
―しばらく、池袋にいる感じだったけど・・・。
―・・・それに、最近なんか毎日が充実してる。・・・仕事が決まって、あの高校生達にあってそれから、甘楽って人からチャットに誘われて・・・。
そこで、景子はハッとする。
―甘楽・・・。あの人、なんか臨也くんに似たところがあったんだっけ・・・。
□■□■□■□■□
チャットルーム
――キャビアさんが入室されました。
キャビア【こんばんわ〜・・・・・・って、誰もいませんよね・・・まだ早いですし・・・】
キャビア【じゃあ、いったん落ちます】
――甘楽さんが入室されました。
甘楽【ようこそ!キャビアさんっ!O(≧▽≦)O】
キャビア【甘楽さん!こんにちは!】
キャビア【お誘いありがとうございました】
甘楽【いえいえ。それにしても早いですねぇ〜】
キャビア【はい。今日は仕事が早くあがって・・・】
甘楽【へぇ〜!キャビアさんって社会人さんなんですか!?】
キャビア【はい・・・まぁ、一応。失敗ばかりですけど・・・】
――バキュラさんが入室されました。
バキュラ【ちわーっす】
甘楽【お?】
キャビア【こんばんわ!ここのチャットの方ですか?】
バキュラ【えぇ、まぁ、】
バキュラ【ってか、甘楽さんと二人きりで大丈夫でしたか?何もされてませんか?】
キャビア【え?】
甘楽【やだなぁ、バキャラさんったら。そんなこといったら、まるで私が変態みたいじゃないですかぁ〜】
バキュラ【実際、変態だろ】
――罪歌さんが入室されました。
――セットンさんが入室されました。
セットン【こんばんわー】
バキュラ【ばわー】
甘楽【どーもー!w】
キャビア【こんばんはー】
セットン【あれ?今日は新しい人も来てるんですね】
罪歌【こんばんわ】
キャビア【はい。甘楽さんから誘われてきました、キャビアといいます】
バキュラ【そういえば、キャビアさんの名前ってどんな由来なんですか?】
セットン【あー。そういえば、気になりますね】
セットン【鮫になにか関係が?】
キャビア【はい。私の名前からモジったものです】
キャビア【最初はこの名前、ちょっと恥ずかしかったんですけど・・・】
キャビア【今は、気に入ってます】
バキュラ【へーそうなんですか】
セットン【可愛い名前だとおもいますよ】
罪歌【かわいいと おもいます】
キャビア【ありがとうございます!】
甘楽【あ!そういえば、最近また黄巾賊が出払ってますよね!】
キャビア【あの黄色の集団ですか?】
罪歌【そうですね】
セットン【そういえば確かに・・・】
甘楽【気をつけたほうがいいですよ?最近では、また黄巾賊の将軍が戻ってきたみたいですからねぇ】
キャビア【将軍?】
甘楽【あー!怖いですねぇ(´Д`;)】
甘楽【いくら高校生以下の集団だといっても、相手は喧嘩慣れしたギャングですからねぇ・・・】
甘楽【あぁ、怖い怖い・・・】
・
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新宿 某高級マンション
「鮫島景子・・・」
黒い薄着を着た男――折原臨也はうれしそうな声を上げ笑いながら一人の女の名前を口にした。
「誰よそれ、聞きなれない名前ね」
それを聞いていた黒髪の女――矢霧波江はほんの一瞬だけ臨也のほうに意識を向けた。
だが、それだけ言うと、耳だけを臨也のほうに向け、自分の仕事に戻る。
「そうだねぇ。別に、君に危害を加える人間でもないし・・・少しは邪魔になるかもしれないけど」
「じゃあ、首とは無関係ってこと?」
波江がそういうと、臨也はずっと見つけていたパソコンから目をそらし、長い机の上に肘をつけ頬杖をつきながら波江を見た。
「ん〜。首の存在を知ったら、嫌でも関係してくるかもね。そういう意味解らない話は景子ちゃん好きだから・・・」
「それって、竜ヶ峰帝人と同じ人種?」
「人種ってひとくくりにされてもなぁ・・・人間はそれぞれところどころ違うから面白いんじゃないか!」
満面の笑みを浮かべながら、クルリといすを回し、背中に広がる絶景を眼前に臨也は両手を広げた。
「・・・で、誰なのよそいつは」
「本当に首のことになると、興味津々だなぁ〜」
「・・・首に興味があるんじゃなくて、誠二に興味があるから知りたいんでしょ?」
その言葉に臨也は肩を竦め、「鮫島景子」について語りだす。
「俺にとっては大いにすばらしい人材だけど・・・・・・逆に俺にとっては邪魔な存在でもある・・・・・・本当に・・・」
そう言って臨也は目を細め、一瞬不機嫌そうな顔をする。
しかし、再びいつものような笑顔を浮かべると、波江に向かって言った。
「大丈夫さ!首のことを景子ちゃんの耳に入ることは極力避けるよう心がけるよ」
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