テイルズオブlong 村 ピピピピピ……… カチッ フレン「うーん、朝か…起きなきゃ…」 この青年はフレン。金髪に空色の目をしている。現在21歳。 今日は土曜日。 今日は近所に住む幼なじみと、都会へ向かう。 ここは田舎で、周りは空き家だらけ。 そのため、この辺りには衣服は売っておらず、ポツンと果物や野菜、魚しか売っていない。 だから、今日は、幼なじみの要望でマンガと米、電子機器を買うために都会へ向かわなくてはいけない。 そのための準備を終わらせて、フレンは少しセンスのないカバンを持って白いTシャツにジーパンをはいて家を出た。 「あらぁ、フレンちゃんおはよう。何処かへ出かけるの?」 近所のおばさんが話しかけてくる。 この町はあたたかい人ばかりなのだ。 フレン「おはよう。都会へ行くんだ。」 「ああ、そうなの?また、ユーリとでしょ。」 フレン「うん。やっぱり、分かるよね。」 ユーリは幼なじみだ。 この田舎の村ではユーリが唯一フレンと同年代の青年で、小さい頃から仲が良かった。 だから、ユーリとフレンは毎日時間があれば一緒にいる。 学校は学年というものがなく、クラスも一クラスしかない。 この村は今、過疎地域になってしまっており、課題とされているのだ。 「ま、何だ、楽しんでくるんだよ。」 近所のおばさんにいってきますと答え、お世辞にもキレイだといえない家の前に立つ。 そして、チャイムを鳴らした。ピーンポーン フレン「ユーリ、準備は出来たかい?」 ユーリ「ああ、フレンか、ちょっと待ってくれー」 呼び掛けると返事がして、ドタバタと足音がする。 ガチャ ユーリ「よっ、フレン。待たせたな。」 やがて、開いたドアから黒髪の人物が現れる。 服装すらも黒く、全てが黒いが、これが彼の定番だ。 荷物は最小限に絞られ、懐に入っている。 これが幼なじみのユーリという人物なのだ。 フレン「ユーリ、おはよう。…じゃ、行こうか?」 ユーリ「ああ。」 電車は三時間に一回か二回だ。 逃すわけにはいかない。 フレンは何か文句を言うこともなく、ユーリの手を引いた。 ユーリも、当然のようにフレンの手をしっかりと掴んだ。 シンとしたホームで電車を待つ。 すると 「あー、もうこの村も終わりだなあ…」 「ああ…引っ越すか。」 そんな会話が聞こえて、ユーリがズンズンと二人組に歩いていく。 ユーリ「おい、終わりってなんだよ!お前ら今までここに世話になったんだろーが!人がいねえからって何だ!んなもん平気だろ!」 そして片方の胸ぐらを掴み怒鳴る。 そんなユーリをフレンは止められなかった。 フレン(…ユーリ…。この村は終わりじゃない…。僕は、この村が好きだから、ユーリの気持ちがわかる。) 「な、何だよ!うるせえなあ!」 「わかった、わかったから!冗談だって!」 ユーリがその言葉に、ようやく落ち着く。 ユーリ「もう言うなよ。」 その時アナウンスが聞こえる。 「電車が参ります」 キキー… 電車が止まる。 ユーリ「行くか。」 フレン「ああ。」 そして乗り込む。 都会に着いたのは30分後だった。 フレンにもたれ掛かり眠りについていたユーリを起こし、電車を降りる。 フレン「ユーリ、まずは何を買おう?」 フレンが訪ねる。 ユーリはしばらく悩んだ後で、電子機器と言った。 欲しい物はこれで最後か、とユーリが一息つく。 少し無駄遣いしすぎたな、と呟いて、ユーリが歩き出す。 慌ててあとを追うフレンにユーリは笑って、カフェに行こうと言った。 まあ、疲れたからな、とフレンも頷く。 その答えに満足したようにユーリは頷いて、流石フレン、と笑った。 やがてたどり着いたのは、裏道にある、いかにも怪しいカフェで、古くさい。 しかし、ここには何度かユーリとフレンは訪れたことがある。 だから、堂々と入る。 カランコロン…… 中は外よりもキレイで、どうやらテーブルが新しくなったようだった。 ユーリ「おーいマスター、久しぶりに来たぜー」 ユーリがマスターに呼び掛けると、マスターは何も言わず頭を下げた。 ユーリは、いつものことだと気に止めることもなく、席につく。 それにつられ、フレンも席についた。 [*前へ][次へ#] |