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Novel
Absurd Lovers*ゆーく様より誕生日祝い小説>>Blush Loser【R*L】
Blush Loser


鏡の前の最終チェック。

全身のコーディネート。
胸元の開き具合。
ちっちゃなピアス。
ちょっとこだわったマニキュア。
うるうるのリップグロス。
お気に入りのコロン。
笑顔。ウィンク。
投げキッス――は、やりすぎ。か。


ギルドのカウンターでミラジェーンとお喋りしていると、足音が近付いてきた。

「おはよ、ルーシィ」
「おはよ――って、また勝手に来たのね」

立っていたのは栗色の髪をたてがみのように揺らす優男。

「だって、呼んでもらえないから」
「……まあ、いいけど」

ロキも“妖精の尻尾”の一員として、ギルドに顔を出すくらいの自由はあっていい。

「それに、ルーシィに毎朝一番に会いたいからね」

そんなことをさらりと言って、柔らかな笑顔を傾ける。

――この笑顔を毎朝見たい。

朝の道連れに子犬座を開かないのはそのため――なんて、口が裂けても言わないが。

「今日も可愛いね、ルーシィ」
「はいはい」

軽くあしらいながら、次の言葉を待つ。
期待している心の内を隠すように、ドリンクに手を伸ばせば、

「ネイル。凝ってるね」
「……そう?」

さすがは目敏い。色男。

思わず同調してこだわりを話してしまいたくなるが、頑張りを見せないのは大事なポイント――否、鉄則だ。

女は、少し隙を見せるくらいがエチケット。名うてのプレイボーイだって、がちがちの堅物相手に軽口なんて叩けやしない。

ロキが上手く声をかけられるように、敢えての隙。敢えて、の。

(―――誰に言い訳してるんだろ)

苦笑しそうなのを紛らわせるため、慌ててストローを引き寄せた。

隣に座った優男は注文を済ませ、ミラジェーンが場を離れた間隙に。

「ねぇルーシィ」
「何よ」

ふっと笑う。
でも瞳は少し熱っぽく。

「そういう小悪魔なとこ。見せるのは僕だけにしてね?」
「なっ……」

不覚にも、真っ赤になって俯いた。


――――やっぱりね 結局全部お見通し 恋はかけひき いつも負け越し


ちっ。悔しいな。
……まあ、いいけど。ちっ。










* * *
ゆーくさん誕生日小説をよりいただきました。ししししかもロキルー!まさかのロキルー!
ルーシィが乙女でね、よくわかるのその気持ち。可愛くいたいんだよ女の子は!でも鏡の前でそういうことやってるのを知人や家族に見られたときのいたたまれなさときたら……あれ?何の話?。
ゆーくさん、相互記念に引き続き素敵な小説ありがとうございました!

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あきゅろす。
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