文 ボールに関する注意 空に雲がみっしり敷き詰まっているときは、注意したほうがいい。 ボールがやってくるからだ。 空を見上げていると、突然ぽっかりと雲に穴があく。 すると、穴からふわふわと何かが出てくる。 それがボールである。 直径が5メートルくらいあり、茶色い土を塗りたくったような色をしている。 形はほとんど球体にちかい。 突然現れたそれに、あなたは驚き立ち尽くしてしまうかもしれない。だが、いつまでもそうしているのは危険である。 ボールは人を飲むのだ。 突っ立つあなたに向かいボールはやってくる。 そして目前に達すると表面に大きな穴をあけ、 すさまじい吸引力であなたを飲み込むだろう。 そしてあなたはなすすべもなく、閉じ込められ そのなかで何年も時を過ごし やがてふとした時に、吐き出されるのだ。 そこが地上に程近い場所であるか、それとも雲のうえかなんてだれもわからない。 だから、ボールには気をつけたほうがいいのです。 ←→ |