「僕が良いと言っても
君はしないと思ったんです。」
「は?」
なにを言ってるか
分からなかったけど…。
「アヤナちゃん、
君は人に愛されたいんですね。」
「…っ!!」
不意に核心を突かれた。
「アヤナちゃんが援助交際をするのは
その本心に触れられることなく
愛されることが出来るからでしょう?」
そう、愛されたいの。
愛なんて知らないの。
「傷つくのが怖いから」
そう、だから
「恋はしないんでしょう?」
海の波音が心に響く。
私の眼からは自然に涙がこぼれる。
「どうして…?」
私の頬は熱い。涙が冷たく感じる。
「どうして分かるの…っ!?」
涙のせいで世界がよく見えない。
冷たい波が私の足元を
さらって行きそうで怖かった。
だけどソエジマさんの手があった。
私の手を優しくとって彼は
波音にかき消されそうな声で
ポツリと呟いた。
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