豊川の屋敷A
「一体原因は何だったの?」
言われて銀は眉を顰める。
「ん?……せやな、何やったっけ……」
銀が記憶を辿り出すと、戸を引く音がして卍が戻ってきた。
「あれ……?銀に……小春ちゃん!?」
目を丸くする卍に、小春は軽く会釈をする。
するとスイが卍に歩み寄り、言った。
「例の件について……私なりの結論です」
「スイ、お前……二人には言うなって言っただろうっ」
「隠したって、行く行くは知ることになるんです。
なら、早い方が良いでしょう」
「……それも、そうだな……」
真剣な言い合いが終わり、卍がこちらを向く。
そして、口を開いた。
「実は今……放置されて、立て直しが厳しくなった祠を回ってるんだけど……
その内の一カ所に、手間取っててね。
このザマさ」
卍は腕を捲ってみせる。
彼の腕には包帯が、痛々しく巻かれていた。
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