珍しい来客B
「何や、水くさいナァ。
いくら新婚ホヤホヤやからって……」
「ええ、まぁ確かに……幸せそうなお二人に水を差すのは心苦しいですからね。
それに、今回の件はもしかすると、人間である小春さんを傷つけるかもしれない……」
――え……
「でも……まだ狐都に来たばかりとはいえ、小春さんは銀と夫婦になろうとしているのです。
仲間になるからこそ、私は小春さんに狐都の現実を知って欲しい……そう思います」
「狐都の……現実……」
それは今、目を背けることは出来たとしても、背け続けることはきっと出来ない……
だったら銀の為……
立ち向かってみようと思った。
今の自分には、きっとそれくらいしか出来ないのだろうから……
「分かりました。
教えてください、狐都のこと」
小春の決意を、銀は嬉しそうに見つめている。
――いいんだ、私はどんなに傷ついたって……
――銀がああして笑ってくれるなら、それで……
小春の決意を、スイは「よく決心しました」と褒めてくれた。
そして、
「ここで私の口から説明するより、まずは豊川の屋敷へ行って、卍を交えて話をするのがいいでしょう」
と二人を豊川に誘ったのだった。
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