珍しい来客A
「そうですか、それは良かった。
でもそんなこと、銀の前で言ってはダメですよ?
今まで気がつきませんでしたが、どうやら彼、ヤキモチ妬きみたいですから」
スイがふざけてみせるので、思わず小春は笑い出してしまう。
すると、突然後ろから耳をキュゥッと引っ張られた。
「痛ッ」
「小春〜?
僕の居らん間に何話しとるんかな〜?」
「銀っ!?」
振り返るとムゥッとした銀と目が合う。
しかしスイは、そんな銀なんてお構いなしに笑うのだった。
「いいじゃないですか、本当のことなんですから」
その笑いというのが上品で、銀はこれ以上やり合う気にはなれないらしく、ため息を一つつくだけで話を進める。
「で?お前は何しに来たんや?」
するとスイは改まり、少し真面目に話を始めた。
「それが、卍のことなのですが……」
と。
「卍が……どうかしたんか?」
「どうやら彼、厄介な問題を抱えているようですよ?」
「アイツが問題を……?
昨日会うたけど、特に変わった様子は無かったで?」
「彼のことです、心配をかけまいとしているんですよ。
特に、貴方達にはね」
スイはそう言うと、小春のことをチラリと見る。
小春がえっとなる脇で、銀は腕組みをして呟いた。
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