廊下の小春
◆
その後……
小春はため息混じりで仕事場へと向かう廊下を歩いていた。
――自分でって言われても……どうやったら思い出せるのか何て分からないよぉ……
不安とプレッシャーと、不鮮明な記憶に対する恐怖……
封じられたということは、何らかの問題があるということだろう。
思い出した瞬間に、心が引き裂かれるような記憶だったら思い出したくはなかった。
――でも……
悪い記憶とは、限らないかもしれない……
銀があの夢の正体を……
封印された記憶を小春が思い出すことを、強く望んでいる気がするから……
――きっと……あの夢……銀と何か関係があるんだ……
――銀、何度も言ってた
――覚えてるとか、覚えてないとか……
――もしかして私、本当は銀のこと、昔から知ってたの……?
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