夢の話
目が覚めてからも、その日は夢のことが頭を離れなかった。
それは、明らかになった少年の名前が今、目の前で朝餉を口に運んでいる男と同じ名前だからなのか……
それともあの夢に、何かあるせいなのか……?
「……小春、食わんの?」
「え?」
銀に話しかけられてようやく我に返る小春。
手元を見ると、朝餉は殆ど手をつけられていない状態だった。
「どこか具合でも悪いの?」
雪月花も心配そうに聞いてくる。
その向かいの席で蛍泉水も、小春を気遣う眼差しを向けてくれていた。
「いっいえ……大したことじゃないんです、ちょっと変な夢を見ただけですから……」
「夢……?」
蛍泉水に訊かれて、小春は頷く。
「はい。真っ暗な所で、誰か男の子と話してるんです。
それで私、何故かその男の子のこと"銀"って……」
「っ!?」
それを聞いた瞬間、三人は何故かハッとして顔を見合わせた。
「まさか……?」
銀が小さく呟く。
「早まるな銀、稲荷神様に確認を取ってくる」
蛍泉水はそう言うと慌てて席を立ち、部屋を出て行った。
一体どうしたというのだろう……
やはりあれは、ただの夢ではないのだろうか……?
御話四 消された初恋
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