中庭F
「小春!!大丈夫か!?」
「あ、銀……
大丈夫、灯とスイさんのお陰で何とか」
小春が笑顔を見せれば、銀も少し安心する。
「そうか……良かった。
スイから知らされた時はお前、泣いとるんやないかって……そりゃ心配したんやぞ」
「うん、ゴメンね心配掛けて」
謝る小春の頭に優しく乗せられた、大好きな掌……
「ええよ、お前が無事やったらそれで」
小春は嬉しそうにしてくれる銀に、その時ばかりは目一杯甘えた。
それは、彼について知らない空白を埋めるように……
「……お、そろそろ祝典が始まる頃かな」
銀に言われて注意を周りに促す。
そう言われてみれば、廊下を通る使用人達の動きに慌ただしさが増している気がした。
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