中庭D
「そんな、気にしないでくださいっ
……それより、夏芽さんが言ってたこと……
銀が曰く付きとか、双子のお兄さんがいるって話……
あれ、本当なんですか……?」
小春が恐る恐る訊ねると、スイも灯も気まずそうに口をつぐむ。
やはり、銀が話さなかったということはそれだけ重い話なのだろうか……?
「小春さん、その話は……
私達の口からすべき話ではありません。
銀が話していないのなら、それはきっと何か考えがあってのことのはず……
彼が自ら話すのを待ってやってもらえませんか?」
スイはそう言うと、夏芽を探しに行くと去っていった。
それを見送る不安げな小春の肩に、そっと灯は手を伸ばす。
「大丈夫、昔から知り合いの俺が保証するよ。
銀は小春が本気で好きだし、悲しませるようなことは絶対しない。
もしそんなことしたら、俺が許さないから」
真面目に言いつつも、いつものような明るい笑顔で励ましてくれる灯……
小春は少し元気を取り戻して、それに答えるように笑ったのだった。
「小春〜大丈夫?」
ユメが火守を従えておずおずとやってくる。
「何だか様子がおかしかったので、水蓮歌様にお知らせしたのですが……」
「有難う火守君、お陰で助かったよ」
自分を嫌う人もいるかもしれないけれど、それ以上に護ってくれる人も多い……
だからきっと大丈夫と、小春は自分に言い聞かせた。
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