中庭B
「お前ッ小春に何てこと言うんだよっ!!」
「ちょっ……やめなさいよ!?」
一瞬のことで小春も驚いたが、どうやら灯が夏芽に掴み掛かったらしい……
「っ灯!!やめてお願いっ!!」
慌てて小春が彼の背に縋ると、彼は渋々夏芽から手を離した。
夏芽は襟元を直しながら、こちらを睨んでいる。
「私のために、乱暴何てしないで……」
小春が言うと灯は小さく息を詰め、「ゴメン」と詫びた。
それを眺めていた夏芽が、鼻で笑う。
「流石、男に媚びうるのも上手いのね。
そうやって銀も口説いたわけ?」
「そっそんなこと……!」
「夏芽!お前いい加減にしろっ」
今度は手を出すことの出来ない灯に、夏芽は強気な姿勢を崩さなかった。
「フンッ銀のこと何も知らない癖に、何が許嫁よ!
私は何もかも受け入れる覚悟をしていたのに、いきなり横から現れて、結婚ですって?
それも人間の癖に!」
「夏芽!」
「うるさいわね灯!
アンタもこんな女にチヤホヤしてるんじゃないわよ!」
「なっ……」
夏芽の鋭い視線が再び小春を捉える。
小春が怯むと彼女は、嘲るように笑った。
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