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中庭A

「見つかったときは、怒られたでしょう?」


「そりゃもう、怒られるなんてもんじゃなかったよっ

 まぁ、俺じゃなくて秋兄が……だけど」


 灯がテヘッと笑ったその時……


「相変わらずね」


 澄んだ女性の声がした。


「夏芽〔ナツメ〕……」


 灯がそう呼んだ女性は、先ほど目の合った女性。

 今度は先ほどの様な厳しい表情ではないが、先ほどの印象もあってビクビクしてしまう……

 すると女性の方から小春に近づいてきた。


「初めまして。噂は聞いてるわ。

 銀、貴方に夢中なんですって?」


 そう言って、意味深に笑う口元。

 そういえば、銀のことを呼び捨てで呼ぶ女性も珍しかった……

 一体どういう関係なのだろう……?


「何の用だよ?」


 二人の間に入り、小春を庇うように腕を伸ばす灯。

 すると女性はクスクスと笑って言った。


「あらやだ、私悪者な訳?」


 そして、彼女の顔から微笑みが消える……


「寧ろ被害者だっての。

 アイツの身勝手な婚約破棄のね」


 冷たく、射抜くようなその言葉……

 "婚約破棄"……?

 銀が……?

 それはつまり……


「私のせい……ですか?」


「当たり前でしょ?他に誰がいるのよ」


「うっ……」


 顔は再び微笑んでいるが、キツイ物言い。

 小春が怯むと、傍らの影が大きく動いた。


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