廊下にて
ユメに引きずられるように、木の廊下を進んでいく。
「お二人とも、ちょっと待ってくださいよ〜っ」
追いかけてくる火守にユメが速度を落とすと、小柄な身体でテトテトと走ってくる彼と合流できた。
「あれ灯は?アイツ何やってんのぉ?」
火守の後ろを覗いて、ユメはむくれ気味に言う。
「灯陽炎様は銀時雨様ともう少しお話があるようでして……」
火守が申し訳なさそうに事情を説明していると、バタバタとあまり品が良いとは言えない様な足音が近づいてきた。
音の方へ全員が視線をやると、走ってきたのは灯。
170cm以上ある長身が室内をドタバタと走る姿は、何とも滑稽というか……
「フゥ〜やっと追いついた……」
息切れをする灯に小春は
「そんなに急がなくても良かったのに……」
と苦笑する。
すると灯は、一瞬顔を強ばらせた。
「え?あ……ホラさ、せっかく銀公認で小春の傍にいられるのに勿体ないじゃん……っ」
一体何故取り乱すのだろう……?
小春の心に、俄な不安が蘇る。
「も〜気持ち悪いぞ灯っ小春と一緒ってだけでそんなに興奮して〜♪」
からかうユメの高らかな笑い声の中で、小春は不安を押し殺す為の苦笑いを続けていた……
御話七
対なる存在
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