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阿修羅姫2












“鬼がでた”





噂はたちまちに広がり、人々は恐怖に震える。
べつにあたし達が悪い訳じゃない。一族を…父様、母様を殺した人間が悪い。





「杏奈様、どちらへ?」


「川へ行ってくる」


「はっ!お気をつけて」





家来に微笑みかけると、その美しいさに頬を染める。
戦場での姿とはまるで似つかないもう一人の自分。




「はぁ……。」




川の水をすくい喉を潤すと通る冷たさが気持ちいい。

ふと、後からの視線に気が付く。





「…誰?なんの用?」

「お前、見慣れないな。ここらの奴か?」

「…質問を質問で返さないでよ」





これだから人間はキライなんだ…
銀髪の少年はあたしの姿を上から下へと見る
不快な気分になり、立ち去ろうとすると彼は「もう行くのか?」と尋ねた。





「ここにいる意味もないし…」

「…俺、暇なんだけど」





だから何?
ますますうざくなり背を向けると突然腕を掴まれる。













「なによ…んっ」















時を止めるように唇が重なる。

















「ちょ…やめっ…なにすんのよ…

















「冬獅郎」

















「は?」

















「俺の名前だ。また来いよな」

















そうと言うと彼は去っていった。
不意打ちで、未だに頭がついていかない。
ただ頬が熱くなるのを感じるだけだった。
















「…だから人間は嫌いなんだ…」
























出会ってしまった二人は………
























(すき?それともキライ?)
2008.5.5  皐月


あきゅろす。
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