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神威夢シリーズ
第六訓:人の話は目を見て聞きましょう
今、蓮は怒りのエネルギーだけで体を動かしている。
怒りの原因はもちろん、神威と阿伏兎の問題発言なのだが、それ以外にも怒りの原因がある。
それは春雨の廊下を歩く蓮を見る乗務員達の視線だ。
それは、蓮が凄まじい怒りのオーラを出しているせいもあるが、神威の「蓮は俺のペット」発言のせいと言っていい。確実に。

そして、怒り沸騰中の蓮が向かう先は春雨の奥にある連絡室。宇宙船全体に連絡などの放送をかける場所だ。

その部屋に辿り着くと勢いよくドアを開けた。
連絡室にいた天人はいきなりの出来事にただただ目を丸くしている。
「神威団長のペットでぇす!ちょっと、マイクを貸してください!」
蓮のいきなりの言葉に天人は、はっとする。
「な、何を言ってる。ここは責任者以外立ち入り禁止だ。」
“ブチブチッッ”蓮の何かがキレる音がした。
「貸せっつってんだよ。あ"ぁ"?天下のペット様に何言ってんの?ハッ、覚悟できてる?」
一気に天人の顔から血の気がひく。
この時、蓮が放っていたオーラは神威のオーラといい勝負だったかもしれない。
蓮の気迫に動けなくなった哀れな天人を部屋の外へおいやると、ドアをしめ、鍵をかけそして、マイクを手にすると落ち着いた手つきでスイッチをONにした。

「あー、あー、マイクのテスト中。本日は晴天なり。………………えー皆様聞いているでしょうか。私は蓮と申します。昨日、皆様の団長様に誘拐されてまいりました。
…………神威聞いてるか?コノヤロー。私は絶対にあんたのペットなんかに成り下がったりしない。

“そうなるんだったら、殺された方がマシ”なんてことも言わない。
ぜっっったいに生きてここから脱出してやる!!

その時はあんたのその胡散臭い笑顔が張りついた、とっっても綺麗なお顔を嫌っていうほど歪めさせてやるから、覚悟しとけ!!!!!………以上。」


スイッチを震える手でOFFにする。
………とんでもない事を言ってしまった。
もしかしたら、この部屋を出たとたん、自分の首がとぶかもしれない。
それでも今、蓮の体を満たしているのは爽やかな満足感だった。

意を決してドアノブを回す。

ドアの先にはいつもの張りつけの笑顔ではなく、蓮をまじまじと見つめる神威がいた。

嫌な汗が蓮の頬をつたう。
「私を殺す?」

挑むような目で神威を見据える。

しかし、蓮の心臓はこれでもかというほどバクバクしている。
「ん?殺さないよ。
あんたがここから出られるとは思わないけど、出られるとしたら見てみたいな。その瞬間を。
まぁ、その時俺はあんたを殺すだろうけどね。」

そう言っていつもの笑顔に戻る。

「上等よ。私は絶対に負けないから。」


きっと勝ち目はないだろう。
いつ死ぬかもわからないし、一生この鳥かごで過ごすはめになるかもしれない。

それでも諦めないことを、蓮は心に誓った。



**あとがき**
えっ?えっ?何この展開?これ、ドリームじゃないの?全然、夢じゃないよ。男くさいよ。
けど、のほほんヒロインより勝ち気なヒロインが好きなので、これでいっかな?とも思います。次回からは少しずつ夢小説らしくね。ねっ!

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あきゅろす。
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