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神威夢シリーズ
第一訓:夜逃げでも脱走でも計画的に
完璧なはずだった。

当初の計画では、この時間にはもう、事前に調べてあった抜け道から晴れて外の世界とご面会!ハッピーライフのはじまりだったはずなのに………

「ハァハァッ。クソッいつまで追い掛けてくんのっ」
半日ほど前には吉原自警団百華の頼れる使い手の一人だった蓮は吉原の薄暗い路地裏を全速力で走っていた。
…しかも、今回は追われる側として。
ついさっきまでは同胞だった彼女らが自分を必死に追い掛けているのは不思議な感覚だ、と思いながらどうしてこうなったのかを走りながら思い返す。


**吉原が一番賑わい色づく夜中、まだ百華の一員だった蓮は懐に僅かな金と苦無、そして、腰に昔から愛用していた小太刀をさげ、怪しい者を見かけたからと、一人列を抜け物陰に潜んだ。
これから、明け方までに男装し、太陽が昇るとともに客の男達にまぎれてこの吉原をぬける予定なのだ。

ここまでは順風満帆。
あとは、男装するだけ。もともと中性的な顔立ちをした蓮は少し男装しただけで怪しまれることはあまりない。
………そう、完璧の見本にもなれるほどに完璧な計画なのだ。

それなのに、男装のための衣服を隠していたはずの場所にそれは跡形もなく消えていた。

それからの経緯は考えなくとも今の状況からしてわかる。あの衣服はおおかた、遊女に金を貢ぎすぎて身ぐるみはがされた男がたまたま見つけてもっていったのだろう。

わかりやすすぎる。それが悔しくてたまらない。

頭の中でごちゃごちゃ考えながら蓮は角を曲がった。
いつのまにかあるはずのない青空が吉原中に広がっている。
しかし、全体的に暗い吉原の内側の路地裏で逃げ回っている蓮にはまったくわからない。
そしてまた、角を曲がる。
しかし今度は上に飛び上がり、次々と角を曲がってきた百華の追っ手に苦無を投げつける。
追っ手に命中したかの確認もすることもなく次は小太刀を手に持つと次々と斬り掛かかる。

数分の間に十以上はいた追っ手を倒して、とりあえず休憩しようとこの場を離れようとしたとき後ろから間延びした拍手と声が聞こえてきた。
「今日は侍といい、あんたといい面白いものばかり見られるね〜」






あとがき**今回はまぁ脱走の方法だけでも書けたらと思いながら書きました。
その結果がこれですね!ハィ悲惨!

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