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*ss*
触れてしまったなら、きっともう手を離すことなんてできない
叶ったことに後悔なんてしていないけれど、叶わない方が良かった想いだったと思う。


いつだって絳攸は自問する。


いつかその日が来たら、自分は彼の手を離すことなどできるのだろうか。




執務室の戸に手をかける。
扉の奥、目に映ったのは鮮やかな紫。


「あぁ絳攸、吏部の方は終わったのか?」
「ええ」
「絳攸、今お茶を淹れたところなのだけれど。良かったらこれ飲むかい?」


いつも通りの笑顔で茶器を差し出す彼が纏うのは深い藍。


『李絳攸』という人生を呉れたひとの背はまぶしい紅。



紅と藍。禁色の紫を構成する、それはどこまでも対極の色。





そしてまた、絳攸は手を伸ばすのだ。










○●後書き的な。●○
なんかまたやけに抽象的な。絳攸視点のおはなしでしたー。

やっと日付を記録しておくことを覚えたらしいです蒔田さん。



著:2008・1・8
UP:2008・6・27


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