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それは確かな愛の形。(紫兄弟目線双花)
「李絳攸と藍楸瑛はどうしている?」


月明かりに彩られた静かな時間。
側近二人と邵可邸を訪れた王を、城まで送る刹那だけ。


静蘭は、昔に戻る。



「楸瑛が酔った絳攸を介抱して、一足先に紅本邸まで送って行きました」
「主君を放り出して、か。近衛筆頭が笑わせるな」
「あにう…いや、貴方は楸瑛がお嫌いですね。でも私は、こうして一緒に歩けて幸せです」
「私もだよ、劉輝。しかし李絳攸がそこまで酔うのも珍しいな。――――…藍家の奴、送り狼にならんと良いがな」
「楸瑛にそこまでの理性があるかどうか…」
「全くだ」


時を惜しむように歩きながら、二人は談笑う。
この時が永遠に続けば良いのに、という願いは叶わないけれど。

せめて今だけは、兄と弟でいられるから。



「劉輝」
「はい」
「李絳攸と藍楸瑛は恋仲か?」
「―――――……兄上、酔ってらっしゃるでしょう……」
「何を言っている。私は素面だ。憶測でものを言うんじゃない劉輝」


絶対酔っている、と劉輝は思った。



「で、どうなんだ」
「はぁ、あの二人はなんというか双方片想いのような…」
「そんなことだろうと思った。傍で見ている君も随分煩わしかろう」
「まぁ、その…もどかしい気はしますが、仲良しなので良いと思います」
「ふ、どうせ藍楸瑛がもたもたしているのだろう。とことん使えん男だ」


なんでそんなに楸瑛を嫌うのだろう、と劉輝は思ったが、賢明にも口には出さなかった。
絳攸もそうだったが、劉輝の敬愛する兄上も、今日は珍しく酔っている。



「――…でも、私はあの二人が今を大切にしているのだと思います」
「現状の変化を恐れるばかりでは何も出来ないだろう」
「楸瑛と絳攸が納得しているなら、それで良いではありませんか。私だって、変わるのは怖いです」



愛しいから、抱き締めたいから手を伸ばすけれど、その危うげな均衡が崩れるのを怖がり手を離す。
それはやはり物足りないけれど、君がそれを望むなら。

良いと思う、それは確かに愛の形。



「確かに、目の前で痴話喧嘩されるのは居たたまれないですけどね…」
「いざとなったら私がなんとかしてやろう」
「本当ですか!そのお言葉、お忘れにならないで下さいよ」
「誰にものを言ってるんだ、私が忘れる訳なかろう?」


だって酔ってらっしゃるじゃないですか、とはやはり賢明にも劉輝は言わなかった。




「―――…それでも余は、いつか二人の想いが実って欲しい」
「そうですね、主上」



城門は、もうすぐそこまで迫っていた。








○●後書き的な。●○
紫兄弟、双花を語る。
初書き劉輝&清苑(静蘭)、絶賛キャラ崩壊中です。…わ、分からん;;

書いた当時は結構気に入ってましたが今読み直すと文脈ボロボロ…(泣)
精進します…


著:多分2007冬
UP:2008・6・22


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あきゅろす。
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