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愛しい人よ、どうか別れの言葉無しに去る私を許しておくれ
もうここしばらく動くことのできないでいる吏部の中、絳攸は波璃の窓の外を見やり、相変わらず煩しいほどの青い空と、いつのまにか深緑に色付いていた木々に溜息をつく。


多分帰ってくるとは分かっている、愛しい人を想いながら。


几案の上の仕事は、先程からあまり進んでいない。
いつも正確無比な彼の言葉が、こればかりは不確かだったから、理由もなく不安が募る。
もしかしたら帰ってこないかもしれない、もし帰ってこなかったら――――?





(―――…どうしてこんなに好きなんだろう)




鉄壁の理性、と己の情けなさを叱咤するためにつぶやいた二つ名は、無音の執務室に儚く消えた。








○●後書き的な。●○
迷子独白。なのにタイトルは楸瑛目線なのがミソです。
これも2007初冬の作品。
初めの方は日付が書いてないんですよねー;おかげでいつ書いたか分かりません。


タイトルと一文目がイジメのように長くてすんません。
直しようがなかった。

短くて物足りないと思われた方もいるとは思いますが、私は結構好きな一品となりました。スッキリ。絳攸でれな話。

【設定:青嵐〜白虹間】
UP:2008・6・15

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