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*ss*
peaceful days
「あれ、主上は?」


絳攸が執務室に戻ってくると、そこには楸瑛しかいなかった。


「府庫にね。休憩だそうだ。仕事もちゃんと片付いているようだったから、良いかと思って」
「珍しい。本当に終わっているじゃないか」
「で、それは追加分かい?」
「まぁ、な。戻ってきたらまた働いてもらわんとな」
「…なんだか可哀相な気もするけれど」
「仕方ないだろう、仕事なんだから」
「まぁそうだろうね。頑張ってもらおうか」


主君が聞いていたら、酷いと怒りそうな会話である。
が、肝心の劉輝はいない為、何の問題もないのだった。


「で、私達はこれからどうしようか。お茶でも飲むかい?」
「悪いがさっき戸部で頂いたんだ。お茶はいい」
「へぇ、戸部で」
「書翰を届けに行ったら一日一回のお茶の時刻に鉢合わせてな。一緒にどうかと言われた」
「あの黄尚書もお茶を?仮面は一体」
「俺は景侍郎としか会ってないから分からんが。どうなんだろうな…」
「それは残念だ」
「仮面の下を見たいのか?」
「そりゃあね。隠されてるもの程見たくなるじゃないか」
「…お前って奴は」


絳攸の溜め息に、楸瑛は楽しそうに笑った。


「あぁ、そういえば絳攸」
「何だ」
「今夜空いてる?良い酒が手に入ったのだけれど」
「…主上の働きぶりによる」
「そう。じゃあ本当に頑張ってもらわないとね」


そろそろ戻ってくる頃かな、と楸瑛が窓の外に目をやると、案の定彼と思しき人影が近づいてくるのが見えた。


「さて、じゃあ再開するとしようか」
「ん?あぁ。お前も武官だからとか言ってないで手伝えよ」
「はいはい。分かってるよ」


そして府庫から戻ってきた彩雲国の王は、机案に堆く積まれた追加仕事に愕然とした。


何故か絳攸より楸瑛の方が手厳しかったのは、また別の話。








◇後書き。◇
平和でありふれた日常が書きたかった、それだけ。
この3人組が本当に大好きです。


著:2008・8・24
UP:2009・6・7


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