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*ss*
onenight dream
虚夢と知りつつ溺れるのは、愚かなことだと思うかい?




「いきなり何を、」
「いつかは絶対に醒める夢なんだ」




そしてそれを私たちは痛い程理解している。




「それでも求めてしまうのは、馬鹿なことだと君は嗤うかい?」




彼の瞳が、皮肉気に揺れる。
―――…酔っている。それも相当、と絳攸はぼんやりと思う。
自分とて同じ状態なのではあるが。


珍しいことだ。
彼がここまで酔うことなど滅多にない。




「愛しているよ。絳攸、―――…愛しているんだ、本当に」




縋るように口づけては囁いた。
その掠れた声音に、絳攸は身体が熱くなるのを感じた。


別段抗うことをしなかった身体は、いとも簡単に組み敷かれる。
脳のどこか酷く遠く、かすかに響く警鐘に気づかぬふりをして、絳攸は楸瑛を受け入れた。


お互いがお互いに、余裕なんて無かった。


口づけては囁いて。
その首筋に縋りついて、求めた。




「愛している」




響く言葉はどちらのものか。




ただ夜は更ける。












◇後書き◇
はっきり言って我ながらかなり駄文。
でも嫌いじゃないのは何故なのか。
こういう楸瑛を書くのは珍しかったからでしょうか。


著:2008・8・20
UP:2009・3・24


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