*ss*
双つ花の誓い
突き放した腕の距離に、最後の逃げ道を残しておこうと思う。
何があっても、何もなかったことにできるように。
ただの二人に、戻れるように。
自分を失ってしまうような愛情なら要らない。
「―――…ふうん、君はそう、思ってるんだね」
彼は否定したりしなかった。
そして、求めることもしなかった。
予防線という名の距離を保ったまま、指だけを絡めた。
「だから、楸瑛」
「良いんだよ、絳攸。私もそれが一番、―――…私達の為なんだと思う」
その結論が正しいのか否かを、考えるのはもう止めにしよう。
「だって結局、大切なものを何一つ捨てられないのは、お互い様なのだからね」
その言葉は、残酷だ。
けれどそれを、残酷だとは思わなかった。
“一番”大切なものが何なのか、二人には分かっていたのだから。
◇後書き◇
2か月以上ぶり…!
短いこともあって余白多めにとってみました。
絳攸つんでれ論その2といいますか。
「ねぇ今、口づけても…」を違う視点から、みたいな。
未来への甘えか、予防線か。
著:2008・8・4
UP:2009・2・7
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