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傍観主義恋情(オリキャラ乱入)
オリキャラ:鈴恋
・後宮女官
・迷子を助けたので絳攸と仲良し
・実は元妓女なので楸瑛とも割と面識有り
・でも双花(ここ大事)

こんなキャラです。
実は細かい設定はまだたくさんあるのですが、それはまた書けたらなぁと。(予定は未定;)

それではどうぞ。
















純粋なひとだ。


「そしてとても鈍いひとだわ」


鈴恋の言葉に耳を傾けていた彼が、興味深そうな顔をした。


「何かあったのかい?」
「何度言ったってちっとも気づいてくれないのよ。あんなに頭の良いひとなのに、不思議だわ」


貴方が好き、って言ったのにね。


「…まさか君、彼に本気じゃないだろうね」


いつだって涼しげな表情を崩さない彼が、珍しく心から驚いている。
鳩が豆鉄砲を喰らうときっとこんな間抜けな顔になるのね、と鈴恋は思った。



夜の名華がいくら誘っても決して本気になりはしないこの男の心を狂わせる、唯一のひと。



「鏡、貸してあげましょうか?今の貴方、すっごく情けない顔してるわよ」


彼の藍鉄色の瞳を覗き込んで、鈴恋は意地の悪そうな顔で笑った。


「…遠慮しておくよ。これでも自分が情けないことくらい、分かってるつもりだから」
「あら、とてもそんな風には見えないけれど?」
「君には敵わないな」

「…私だって、あのひとには敵わないわ」



尊くて、儚くて、―――…いとおしい、ひと。
澄み切った無垢な、けれど強い意思を秘めた瞳に、一瞬で心を奪われる。


(けれど―――…)


鈴恋は横目で彼を盗み見た。
この男は何もかも知っているのだろうか。
それとも、何も知らないのだろうか。
良家の教育とはそういうものなのだろうか、彼は作り笑顔の下の本音を見せようとはしないから、鈴恋には分からない。



(あのひとがあいしているのは、)



目の前のこの男なのだということ。



「あーぁ、まさか貴方なんかに負けるなんて。信じられない」
「彼を振り向かせるの、すごく大変だったんだよ。こんなところで君に負ける訳にはいかないじゃないか」
「なーんだ。結局全部分かってるのね」
「何がだい?」
「あら嫌だ、とぼけちゃって。これだから貴方が嫌いなのよ」


どんな恋情も届かないひと。
だから願う、あなたに幸せを。



目の前で笑うこの男じゃ、少し頼りない気もするけれど。



○●後書き的な。●○
楸絳←鈴恋。
といいつつ鈴恋以外は実名がなかったり。代名詞ばっか!
おんなのこの言葉が書きたかったので。



著:2008・5・10
UP:2008・7・29


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あきゅろす。
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