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*ss*
ねぇ今、口づけてもいいかな?(if)
!死ネタ注意!
OK?>>スクロールプリーズ。











大丈夫ですか?










* * *



彼を失ってから、もう随分と時は過ぎた。
いつまでも続くと思っていた、彼が隣に居る日常に。
いつだって底の見えない微笑みを絶やさなかったその存在を、置き去りにして。



『私は君と出逢えて、とても幸せだったと思う。
だから、たとえ君を失ったとしても、君に出逢ったことを後悔したりしないよ』



――――…ねぇ、絳攸?



『愛してるよ。…君は?』
『貴様なんか大嫌いだ』
『つれないねぇ。愛しい恋人に“愛している”くらい言ってくれたって良いじゃないか』
『誰が愛しい恋人だ!!お前はただの腐れ縁だっ!』
『またそんなことばかり言って。…まぁそんな所も好きなのだけれど、ね』




本当は愛していた。
寄せられる恋情も、甘い甘い愛の言葉も、何もかもが嬉しかった。
愛していると、言いたかった。
けれどどうしても言えなくて、彼はそんなことも分かって自分を愛してくれたから、だからつけ上がって、気のない素振りで、―――…彼に甘えた。


言えない言葉を言える明日は、必ず来ると信じていたから。


それがどんなに愚劣で傲慢だったか――…情けないことに自分は、失わなければ気づけなかった。


『後悔はしたくない』と言っていたひと。
―――…俺は今、後悔している。





「愛している、と…どうして言えなかったのだろう」
「絳攸…、楸瑛はちゃんとそなたの気持ちを知っていたぞ」
「分かっている。でも」



伝えていたら、きっと何かは変わっていたかもしれない。
けれどそれも、今となっては何の意味も成さない仮定。
つまらない意地なんて捨てて、愛していると言えば良かった。
その思いだけはきっと永遠に変わらない。自責の念、後悔。



けれど。



「楸瑛は、絳攸にそんな顔ばかりさせていたくはないと余は思うぞ」
彼ならばそんな憂いに満ちた表情も好きと言ったかも知れないが、と劉輝は笑った。
「そうですね、きっと。それに一つ分かったことがあるんです」
「何なのだ?」
「――――……あいつ、楸瑛に出逢えたことだけは後悔していない、と」
「…そう、だな。余もそう思う」



互いの瞳から流れる雫は、きっと雨。
傍の楸瑛にも分かるように、絳攸は鮮やかに微笑って、そして立ち上がった。



「さぁ、そろそろ帰りましょう。いつまでも藍州で油を売っている場合じゃありませんからね」
「あぁ、悠舜も待っているだろうからな。―――…あぁ、また貴陽で仕事の毎日、か」
「王なんですから仕方無いでしょう。怠けたら容赦しないからな」
「…分かっているのだ。―――…じゃあ楸瑛、また来るから」



墓前の花は、初夏の風に揺れる。
そこに眠る彼の表情は分からないけれど、きっといつものように微笑っているのだろう。



「じゃあ、また。―――――――…いとしい、ひと」



耳まで真っ赤にして、絳攸は呟く。
もう自分の気持ちに嘘はつかない。
その決心は遅過ぎても。



星になった貴方に、どうかこの想いが届きます様に。




二人の気持ちに応えるように、墓前の花がまた優しげに揺れた。
その花は、二輪。






黒曜石の墓石に、紫色の花菖蒲はよく映えた。










○●後書き的な。●○※長い。
inspireed by:平井堅/いつか離れる日が来ても
色々な意味で問題作な今回。
というわけで、楸瑛さん死ネタでしたー。
楸瑛死ネタだって種明かししちゃうと味気なくなる気がしたので展開は秘密。・・・にした割には初期でバレてるけど;;
むしろこの歌の流れで話を作りたかったんですが見事に方向が・・・迷子だ迷子!
すごく時間が掛かりました。
でもまとまりは悪い。うーん・・・
前の現パロがかなり好きなので、結構スランプだったんじゃないかな^^;書きたい事も多い話ですしー。

「つんでれは大いなる甘えであるか?」
という疑問提起に終始した感のある一話ですが、甘えだろうが甘えじゃなかろうが絳攸はつんでれだからいいんだよ!!というのが個人的な意見。
でも本当は、結構相手との間に信頼がないとできないよな―・・・;;;なんて。
余談ですがツンデレはつんでれと平仮名で表記するべきだと思います。(本当に余談)

それでは長々と失礼しました。


著:2008・4・12
UP:2008・7・22


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