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褪ロラ
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 覚えている最初の記憶は、夕暮れの空を背景に僕を覗き込む焦った顔。
 目が合うとその人は、ほんの一瞬だけ、辛そうに顔を歪めた。

 「……、ぁ……」

 声をかけようと口を開いて、何の言葉も発せられないことに驚いた。そういえば手足の感覚もどこか曖昧で、視界だって霞みかけている。仰向けに倒れているのに、平衡感覚が馬鹿になったみたいに頭の中が揺れていて、吐き気がした。

 「……お前、このままだと、もうすぐ死ぬ」
 ――死ぬ?
 「こんなこと急に言われても意味わかんねえだろうけど、時間もねえんだ」
 ――時間がない?
 「生きたいか」
 ――僕は、
 「まだ、死にたくないか?」
 
 ――死にたく、ない。

 「……わかった」

 そう言ってその人は、少し笑った。


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