zzz 貴方に藍されて 廊下に一歩足を出し、パタンとドアを閉める。 部屋から出るとちょっぴり肌寒くて、あとでクリスかフェルトに空調よろしく言わなきゃと身震い一つして私は思った。 「…はぁ…」 溜め息が無意識に出てくる。私の溜め息だけが無情にもこの場に響く。 せっかく時間を割いて会いに来たのに、構ってくれないとは何事か!!つーか、それでもあたしの彼氏なのか!?彼女の事をもっと大切にしろよー!! 怒りよりも呆れの感情の方が勝ってしまい、へなへなと私はその場に座り込む。 「…聖?」 突然声をかけられ、バッと顔を上げると無表情少年(の称号を与えられて生まれてきた)刹那が目の前にいた。まぁでも、何年も一緒にいればいつもの表情と少し違うくらい私にも分かるわけで。 明らかに心配そうな目でこちらを見ている。 「…せ、せっつーん!!!!」 「(狽ケっつん!?)…どうした?」 ギュッといきなり飛びついてしまったが、難なく刹那は私を受け止めた。ちっこい体して、案外筋肉付いてるんじゃない。 お姉さん感激したわ!! 「あのね、ティエリアがね、構ってくれないのよ!!せっかく会いに来たのに遊んでもくれないの(泣)あたしってティエリアに嫌われてるのかしら…」 刹那に愚痴を言っているうちに悲しくなってきた。改めて自分で言うと、ダメージが大きいのね。 はぁ、とまた溜め息を吐くと、ポンと頭に手を置かれた。 刹那の、手? 「嫌われて、無い。むしろ、俺は聖の事が好きだ」 「刹那…(ぎゃー!!可愛すぎる!!)あたしも刹那の事大すk狽、ぎゃあッ!?」 刹那に再度抱きつこうとしたら、強い力で肩を掴まれて尻餅をついてしまった。正直むちゃくちゃ痛い。 刹那との感動のシーンを邪魔するのは誰よ!!と思いっきり振り返ると、そこには仁王立ちのティエリア様が物凄いオーラを出してこちらを睨んでいらっしゃいました。 「ぇー…あのー、ティエリア…?」 「…来い」 「狽」おッ!!?」 ガシッと手を掴まれて、ティエリアの部屋に入れられる。 せつなー、また後でねーとテレパシーを送って、私は部屋に入った。というか、ティエリアさっきまで構ってくれなかった張本人のくせしてなんで怒ってるのよー。意味が分かんないわ。 なんて悶々としていると、突然ティエリアに抱き締められた。 …え、ティエリアに? 「ゃ、ちょ…ティエリア!?」 体が動かない。 頭が真っ白になる。 どうしちゃったんだマイボーイフレンド!!とうとうおかしくなってしまったのですか?それとも急に人肌が恋しくなったのですか?確かに唐突に人肌恋しくなるときもありますよね。かく言う私も抱きつきたい症候群に襲われる時がたまにありま………いや、違う違う。話ずれた。話戻そう!! 「ティエリアさん、どうなされたのデスカー…?」 恐怖からカタコトになってしまったが、聴こえてきたのはいつもの凛とした声ではなく、弱々しく今にも泣きそうな声だった。 「…っくな…」 「え?」 「俺以外の男に抱きつくなよ…!!」 ギュッと抱き締める力が更に強まった。 「…あ、あのー…」 「…悪かったな、嫉妬なんかして」 パッと体を離すと、ティエリアはぷいと視線を外した。見ると顔が真っ赤だ。ヤバいヤバいヤバい。 「ティエリアー大好きッ!!!!」 今度は私から、ティエリアに負けないくらい強く抱き締める。 まさか、このクールビューティー☆ボーイが嫉妬してくれたなんて、嬉しすぎる。こんなに嬉しいって思ったの、初めてじゃないかしら?これ、夢じゃないよね。うん違う違う。ティエリアの体温を身体全体で感じながら、ふと思い出した事があった。 「そういえば、なんでさっきは構ってくれなかったの?」 初めは驚いていたが、今はサラサラと私の髪を弄るティエリアに気になっていた事を聞いた。まぁそれがあったから、今こうなっているのだけど。すっごく気になる。まさか、なんとなくそんな気分だったとか言わないよね?いやまさか。 「それは…」 「それは?」 「…聖に会うと、自分でもどうしたらいいのか分からなくなるから、だ…」 段々顔が赤くなっていくティエリア。 …待った。それって、それって!! 照・れ・隠・し!!!? 貴方に藍されてると気付いた (せっつーん!!聞いて聞いてッ!!あのねティエリアがね、)(だからお前は他人に抱きつくなッ!!) やぁっと完成です+゜ そらに捧げ夢で…(遅) ティエ夢ツンデレというめちゃハードル高いのを出されましてですね。 頑張りましたよ!! てか、ツンデレになってますか? ツン部分を微妙に省略しちまいましたょごめんorz 途中、なんかこれ刹那夢じゃね?とか思わないで下さーい。 危うく本当に刹那夢になりそうでした;← 取りあえず、 こんなのでよければ、受け取って下さいそらちゃん(*u_u) 返品OKですよ、ハィ。 080909 篠塚聖 |