私は君に恋をする 物語のはじまり 夏目さんと吉田くんは、無事に補習を間逃れたようでひと安心した。 でも私は何でここにいるんだろう… 「…えーではまあそんな所で、あとは鶏小屋をどうするかという問題ですが。 水谷雫さん、ちゃんと参加してください」 水谷さんは夏目さんの指摘にギクッとしながらも、勉強を続けていた。 「鶏小屋って、どうやって作るんだ?」 「あ、それはわたし調べます。 すべての答えはネットにあります」 「オレんち、近くにホームセンターあるぜー」 放課後に夏目さんに強引に連れてこられた図書室では、吉田くんが学校に連れ込んだ鶏(名古屋)の飼育会議が進められていた。 そのメンバーは夏目さん、水谷さん、吉田くん、そしてササヤンくん ササヤンくんとはたまに話したりするけど、それはいつも友達と一緒の時なので2人で話したことはまだない。 でも何でササヤンくんも一緒何だろう? 何かとことん謎… と言うか名古屋って名前はどこから来たの? 「材料買ってこようか?」 「みっ、みんなで行きましょう 今度の休みに、みんなで!!」 「え、うん。いーけど」 夏目さんが物凄い勢いで言うものだから、今までの会話をボケーと聞いていた私はビクッと肩を揺らしてしまった。 そんな夏目さんの勢いに、ササヤンくんが若干呆れつつ返事をしているのを聞いて、私はハッと思った。 ヤバい、この流れだと私も行くことになる!! 「ちょっと待って、私は行かないよ」 「なっ、何でですか!?」 「いやだって、そもそも何で私がここに連れてこられたのかも謎だし、それに休日はなるべく家で過ごしたい」 「 苗字さんって、休みの日遊んだりしないの?」 ササヤンくんの何気ない一言に、私は自分の普段の休日の過ごし方について思い出していた。 夏目さんはちょっとと言うか、かなりヘコんでいるみたいで、軽く放心状態になっていた。 「んー、基本家でゴロゴロしてるかな? みんなとは放課後に遊んでるから、休みの日は撮りだめたドラマみたり、ゲームしたり、雑誌とか漫画読んでる。 でもたまに休みの日に友達と遊ぶよ?」 あははと笑いながら言うと、みんなは意外って顔で私を見ていた。 だって仕方ないじゃん? 私はめんどくさがりで、気分屋な所があるんだから。 「でも行きましょう!! あっ、なんならわたしお家まで迎えに行きましょうか!?」 「ごめんなさい、家に来られると迷惑なんで」 「じゃあ来てください!!」 「えー、イヤ。 あっ、今思い出したけど私用事あるわ」 「えっ!!嘘じゃなくてですか!?」 「うん、本当。だからやっぱり無理だわ、ごめんね」 「…用事があるなら仕方ないですよね…」 またまたかなりヘコんでしまった夏目さんを可哀想に思ったが、本当に用事があったから仕方ないよね… てか用事がある事を忘れていた私も私だけど… とりあえず、鶏小屋作りは4人に任せることになりました!! 本当にごめんね… お詫びに月曜にお菓子を作って渡そうと誓った私でした。 [*前へ] |