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今日も今日とて、病室のベッドで世界を仰ぎ見る。“世界”とはかくも狭く白く無機質で、体につながれた管の許すだけの範囲だとは。窓の外は澄み渡る蒼や、飛び回る鳥や、激情の雨や、燃えつきて朽ちる太陽や、夕闇に光る月星や、めまぐるしく表情を変えるのに。かの部屋だけは変わらない。
もうどのくらい此処にいるだろうか。果たして自らを蝕む病はなんという名だったろうか。もはや何もわからないけれど、ひとつわかることがある。この体は朽ち果てることを臨んでいる。一歩ずつ、一刻ずつ、淡々と死に近づく。そうしてもって、これまでの一歩と、一刻と同じ幅で最期の一線を踏み越えて、きっと自分は死ぬのだろう。
なんだ、呆気ない。
しかし、許せない。
なぜ自分が選ばれた?
オレが何をしたって言うんだ?
もし“カミサマ”ってやつがいたら出てこい。文句くらい言わせろ。
オレは――――――
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