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その後言われるまま母さんに電話すると、案の定怒られたが、電池切れそうだからと言って電源を切った。彼はそれを満足そうにに見て、駐車場の車に俺を乗せて走り出した。
ゆったりすべるように走る車。赤信号で停車する度に繋がれる手がくすぐったい。こんなことなら全部の信号が赤になればいいとさえ思ってしまう。だけどそれは叶わず、車はすんなりとマンションの駐車場に入っていった。
「ついたよ」
「うん」
ゆっくりと車を止めて、エンジンを止めても彼は降りない。ただハンドルにもたれかかったままぼんやりしていた。
「降りないの?」
なんとなく不安になって彼の袖を引く。すると彼は俺の体を抱き寄せた。やさしく唇が合わせられ、徐々に深くなる。
「ん……ふっ」
鼻から抜ける息に音が生まれるのがたまらなく恥ずかしかった。あまりにも恥ずかしくて、彼の胸をたたくとようやく解放された。
「立てる?」
「……多分」
そんなこと聞くならキスすんなとか、思わずにはいられないけど。震える足を叱咤して、ようやく車から降りる。彼は助手席側に回っていてくれて、手を差し出された。
差し出された手をつないで引かれるままに後を追う。エレベーターに乗って、7を押すとなめらかに上昇する。その間彼は無言だったけれど、繋いだ手を指で撫でられていた。
緊張が、エレベーターと同じ速度で上昇していく。小さな音を立てて開いたドアに、ため息をついてフロアに降りた。
「はいどーぞ」
「お邪魔します」
彼が鍵を開けるのを待っていると、表札が目についた。そしてやっと、俺は彼の名前も年も何も知らないことに気付いた。表札の櫻井という名字だけが、俺の知る彼のすべてだ。
「先入っててね」
のろのろと靴を脱ぎおえた俺を、櫻井さんはバスルームへと押し込んだ。足音がドアから遠ざかるのを聞いてゆっくり服をぬぐと、雨に濡れて生乾きのYシャツをカゴに入れた。そのままベルトに手をかけたところで櫻井さんがバスルームに戻り、俺の服をすべて剥ぎ取った。
素手で体をなで回されて、びくりと体が跳ねるたびに笑われる。あまりの恥ずかしさとシャワーの熱に体が赤く染まっていく。
「かわいいなあ。ここ、気持ちいいんだねー。勃ってるもん」
何度も引っかかれて、つままれて、撫で回されて、胸の飾りは主張するようにぷっくり膨らんでいる。こんなところが感じるなんて思いもしなかった。
「こーゆーのって、初めて?」
泡に包まれた手がやんわりと前に触れる。直接的な刺激に思わず声が漏れた。
「んっ…こーゆーのって…?」
「誰かに、ココ、触られたり」
ぐちゅっと濡れた音がして、ゆるゆると擦られた。
「はっあっ…んっ、ないっ」
「だよねー。てゆうか、誰かが先に触ってたら、俺ちょっと無理だわ」
「痛っ、いたい!!」
涙が出るほど強く握られて、うなじにキスをされる。チクリとした痛みが、首筋にも走った。
「じゃあ、こっちは?」
するりと回された手は、あろうことか排泄用の穴を撫でた。
「やだっ、そんなとこ」
「でもね、オトコとヤるなら、ここ使わなきゃだめなんだよ」
表面を幾度も撫でられ、気がおかしくなりそうなほどの恥ずかしさが募る。オトコとヤる、櫻井さんとセックスする。それを求めてここに来たのに、急に逃げたくなってしまった。
「ねえ洋平? お前、俺とシたいんだろ?」
この人の声に、どうしてもうなずいてしまう。ほんとはシたいからシたいんじゃなくて、スキだからシたいんだけど。結局、結果は一緒だろうからとあきらめた。
「シたい…ッ」
「いい子だね。じゃあ続きはベッドでしよっか」
鼻先にキスをされて、体の泡をシャワーで流して、バスルームを出た。だいたいをタオルで拭いてもらって、髪の雫も拭き取って、裸のままベッドルームに通された。櫻井さんはいつものように優しく笑っていた。
ベッドルームにつくと広いベッドに優しく寝かされた。見上げた櫻井さんは、優しい笑みにオトコを滲ませていて、さっきからずっと気持ちいいままの息子が反応した。
「ああ、さっきイかせてあげらんなかったもんね。でももうちょっと、お預け。我慢できるよね?」
つーと裏筋を指先でなぞりながら、そんなことを言わないで欲しい。どぷりと漏れた先走りに、櫻井さんはまた笑った。
そんなかわいそうな俺の息子を放置して、櫻井さんはベッド脇の引き出しからピンクのボトルを取り出した。目の前で中身を確認するように振る櫻井さんに首を傾げる。
「それ、なに?」
「これはローション。オンナみたいに、ココをびしょびしょにさせてあげる」
ココとゆって撫でられた蕾に、ドバっと冷たいままのローションが垂らされた。
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