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獣神戦隊マイスマン
守護獣神集結
 新たな守護獣神の出現に敵味方双方が動きを止める。

「嘘だろ……、空蓮寺もマイスマンだったのか!?」
「香月さんはともかく、空蓮寺は予想外だったな」

 沙夜子が予想通りであったのに対し、空蓮寺がマイスマンだった真実に輝夜と智史は頭を抱える。
 世那に至っては目の前で起こったことに呆然としていた。
 新たな勢力にミラーシンマ達は色めき立つ。

「何? 貴様らが最後のマイスマンだと……!?」
「馬鹿なっ、先程までは神気すらなかったと言うのに――」

 はっと眼を見開き、神魔は一つの可能性に思い至る。

「そうか、あの三匹も変身する前は只人だったな。
貴様らもよく好き好んで下司(げす)な人間に転生したものだ。
古の守護獣神も堕ちるところまで堕ちたということか、フッハハハハ!」

 哄笑を上げるミラーシンマ達を一瞥し、黙って沙夜子は右手を掲げる。
 その手から白い砂塵が噴き上がり、二刀の小太刀が形成された。
 横目で確認した勇人はもう一体のミラーシンマに向けて戦いの構えを取る。

「言い残す遺言はそれだけかしら? なら遠慮なくいかせてもらうわ。
天狼地顎閃(てんろうちがくせん)!!」

 両手の白刃を交差させ、そのまま一閃に振り切る。
 大地を走る斬圧は土を隆起させ、鋭い牙へと変えた。次々と隆起する大地の牙が前方のミラーシンマに迫る。

「フンッ無駄な事! 魔天鏡光!!」
「計算済みよ、総て」
「何!?」

 ミラーシンマの放った光線を大地の牙が飲み込んでいく。
 慌てて後方のミラーシンマが攻撃しようとするも、勇人の放った光線銃で好機を逸した。
 前方のミラーシンマは抵抗も空しく、沙夜子の攻撃を受けた。

「ぐおおぉあぁぁ――っ!!」

 前に三人の攻撃を受けていたこともあり、鏡面が激しくひび割れる。
 小刻みに全身を痙攣させ、ミラーシンマは膝をついた。

「おのれぇっ、せめて貴様の息の根だけでも止めてやる!」

 勇人と対峙していたもう一体が鋭利な爪を伸ばし襲いかかる。
 上体を軽く逸らして避けると、勇人は左手に力を込め風を集め出した。
 蒼い風は形をくねらせ、巨大風車手裏剣へと姿を変える。
 中心部にある取っ手を掴み、神気を込めると刃が高速回転し始めた。

「神風螺旋鷲撃(しんぷうらせんしゅうげき)!!」

 思い切り巨大手裏剣を振り上げ、勢いのまま敵目掛けて投げ放つ。
 手裏剣は蒼い風を身に纏い、螺旋を描きながら神魔の向かっていく。
 刃の回転速度に加え、勇人の投じた勢いにより残像すら残さず、ミラーシンマの側を通り抜けた。

「馬鹿め、外してどうする!」
「フッ……お前、頭に蛆でも湧いてんじゃねえか?
よぉーく身体を見てみろ」
「負け惜しみか、小僧?
貴様の攻撃は我にかすり傷一つ付けていないだろうが」

 油断しきったミラーシンマに勇人は嘲笑を浮かべる。
 右手でパチンと指を鳴らすと、つい今しがた嗤っていたミラーシンマの声がピタリと止まった。

「な、何故っ身体が動かん! あ……がぁっ、ああぁぁ!!!」

 獣のような咆哮と共に全身の鏡がひび割れていく。
 カツンとアスファルトを踏みしめ、勇人が巨大手裏剣を手に神魔の元へ一歩進みだした。

「これが俺の力、神風だ。
俺の放った手裏剣は例え直接当たらずとも、生じた風がかまいたちの如くお前を切り刻むぞ」
「うっぐうぅぁ……っ」

 凄まじい攻撃で身体が耐えきれなくなるのと同時に、輝夜達を封じ込めていた結界が崩壊した。
 それと共に分裂していたミラーシンマが一体に戻る。

「やった、壁が消えた!」
「ありがとうホワイト、ブルー、助かったよ」
「いいえ、ブラック、イエロー。仲間として当然のことをしたまでよ」
「いいや、二人がいてくれなかったらどうなってたことか。お陰で命拾いをした」

 輝夜の言葉に世那と智史も強く頷く。

「おい。友情ごっこはその辺にして、さっさとこの雑魚を片付けるぞ」
「ったく、覚醒してもこの調子かよ。まあ気を取り直して、合体技いくぞ!!」

 言うが早いか、輝夜は焔の日本刀を構える。
 続いて智史が水の槍を、世那が光の大鎌を前へ突き出した。
 そして沙夜子が白砂の小太刀を二刀交差させ、勇人が風の巨大手裏剣を手にする。

「いくぞ! 五神気集結!!」
『エレメンタル・シュート!!!』

 焔、水、光、土、風の神気が合わさることで七色の渦となり、一気にミラーシンマを貫く。

「ダキニ様っ、御助けをおおぉぉ――!!!」

 謎の名を叫びながら、ミラーシンマは爆発し消し飛んだ。





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