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獣神戦隊マイスマン
新たな目覚め
「うわああぁぁ!!」

 背後から風を切るような悲鳴が上がった。智史と世那が屍鬼に捕らわれている。
 首を締め付けられ、双方とも必死でもがくが力が及ばない。

「この野郎ぉっ、二人を離せ!!」

 必死で二人の元へ向かうも、他の屍鬼どもに阻まれ辿り着けやしない。
 炎を右手に集めようとするも、攻撃の隙を与えぬよう妨害してくるため必殺技すら打てずにいる。
 どうしたらいい!?このままでは二人の命が……!
 目前には首を絞められ顔を歪ませる二人の姿が。
 あと少し、あともう少しで手が届くのにっ。

「くっそぉぉ! どけええぇぇっ!!」

 身体中から一気に炎を吹き上げ、輝夜は襲いかかる異形の群れを焼き尽くした。
 息つく間もなく駆け出し、二人を捉えていた屍鬼を力づくで引き剥がす。
 崩れ落ちた二人はゲホゲホと咳きこむが、命に別状はないようで安心した。
 仲間を倒されたことを悟ってか、残された神魔兵は標的を輝夜に変更。一気に距離を詰め、鋭い爪を振りかざしてきた。他の屍鬼達と違うのか体色は青く、力も速さも上回っている。
 これは倒すのに手間取るかもしれないな。頭の片隅で危機感を覚えながら、この状況を打破することだけを考える。紙一重の差で攻撃を避けるも、次第に輝夜の限界が近づいてきた。
 ずっと避け続ける輝夜、だが足もとがよろめいた瞬間を屍鬼は見逃さなかった。素早く懐に近接し、爪で切り裂いていく。

「ぐああぁぁっ!!」

 切られた箇所から火花が散り、輝夜は力なく倒れる。その背を容赦なく屍鬼が踏みつけた。
苦悶の声を上げ、激痛に耐える輝夜。その様を智史達は悲痛な思いで見る。

「まずいっ、このままじゃ輝夜が!」
「でもどうする? 私達が行っても足手纏いになっちゃうよ!」

 今にも飛び出しそうな智史をかろうじて世那が抑えた。
 親友の危機に、何もできない無力な自分に腹が立つ。苛立ち、悔しさから彼は奥歯を噛み締めることしかできない。
 それは世那も同じだった。自分から付いていくと言っておいてこの様だ。学校では助けることができても、こんな化け物相手じゃ何もできないなんて……。

「どうして……っ、どうして肝心な時に僕は戦えないんだ!?」

 どうして僕には……!? 戦う力が欲しい。

「お願い、力が欲しいの!
あいつを……星川を助けたいんだ!!」

 助けたい! 守る力が欲しい。

 強き意志に応えるように、智史の宝玉が黒に、世那の宝玉が黄色に輝きだす。
 溢れ出る光から二人の身体に熱いエネルギーが流れ込んできた。智史の身体が紫をおびた漆黒の光に、世那は黄色い光に変わる。
 二人の脳裏に一つの言霊が囁きかけた。迷うことなく二人は、声の限りに叫んだ。

『獣神覚醒!!』

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あきゅろす。
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