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猫の守護神さま!

 少しでも嘗められないようにするため、意識して不敵な笑みを浮かべてみせる。
 そうしたら先程までの高慢さが嘘のように、生徒会メンバーは大人しくなった。会計の子なんか、顔が茹でダコみたいに真赤だ。
 馬鹿にされて怒ったのだろうか? あながち間違いでもないけど。
 さて、舞台が整ったところで本番と行こうか?

「おい、家柄至上主義の馬鹿ども。
さっきからくだらないことで俺の手を煩わせるんじゃねえよ。
お前らが認めようが認めまいが、この中等部の生徒会長は……俺だ!
いいか!? 今後、家がどうだとか不良共がどうだとか、仕事に関係ないことを抜かしてみろ!
その腐った脳髄、芯から仕事中毒になるまで俺が塗り替えてやろう」

 これから前生徒会の仕事の引き継ぎも始まるんだ。
 つまらない小競り合いをしている暇などない。
 念を押すため、さらに釘を刺す。

「精々、その家柄と職務に値するだけの働きをしてみせろ。
 言っておくが、俺はやるからには徹底して事に当たる。親衛隊の統率も、不良のクラスの運営も何もかもな……。
全員覚悟しておけ。余計なことを考える暇のないぐらい、馬車馬の如く扱き使ってやる」

 俺はお前らの親や取り巻き連中とは違う。
 甘やかす気は一切ないぜ。わかったな?

 さっさと言うことだけ言って、この時の俺は生徒会長専用の机に向かった。
 早々と引き継がれた資料に目を通し始める俺の姿に、副会長を初め、他のメンバーも慌てて自分の仕事に取りかかり出したようだ。
 
 これでいい。優しさだけでは何も変わらないのなら、文字通り『氷の魔王』として君臨してやるよ。


 そして現在、高等部での俺はこの氷の魔王のキャラを貫いているせいで、絶賛一人ぼっち学園生活を邁進中です。
 成り行きと自分の目的のためとはいえ、こんなキャラとして定着してしまったのは正直後悔している。
 反省はしてないけどね。
 でも……友達作りだけは、本音を言えば今でも諦めきれないままなんだよなあ。
 俺にもいつか、心のうちを明かせる友達ができるかな……?
 この学園にいる限り、とてつもなく薄い望みだとは思うけど。

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あきゅろす。
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