白雪姫03
かわいそうな姫
それから間もなくしてお妃は亡くなりました。
まだ4つだったコウ姫は、お妃の死を嘆きました。
「こんなことなら、もっとたくさんエリザお母様のドレスを着るんだったわ」
そうすれば、もっとお母様の笑顔が見られたのに。
コウ姫は悲しみのあまり、何日も泣き続けました。
そんな姫の悲しむようすを見た王様は、娘があまりに不憫だと思い、二度目のお妃を迎えました。
このお妃は、亡くなったお妃よりもずっと美しい人でした。けれど高慢で、自意識過剰で、人に負けることが大嫌いな彼女は、自分が世界で誰よりも美しいと思っていました。
お妃の名はナティアといいました。
ナティア王妃は不思議な鏡を持っていました。彼女がその鏡を前にして話し掛けると、答えてくれるという、なんとも不思議で綺麗な鏡でした。
今日もナティア王妃は鏡の前に立ち、こう言いました。
「鏡よ鏡。この国で一番美しいのはだあれ」
すると鏡が黄金に光り、こう答えたのです。
『また……ですか? もうその質問は飽きました。私は忙しいんです。くだらないことに付き合わせないでください』
「んっまあ! いいじゃない。何度だって聞きたいのよ!」
『はあ……面倒くさい』
「いいから答えなさい! この国で一番美しいのは!?」
『ナティア王妃……と答えれば満足ですか?』
「なっ……! いちいち腹の立つ……けど、まあいいわ」
少し面倒くさがりな鏡でしたが、彼は決してうそを言わないことを彼女は知っていました。
ですから癇に障る言われ方をされても、やはり満足したのです。
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