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白雪姫おまけ4


 舞台裏C


「あ・な・た」

「な、なんだい? エリザ」

 やっと舞台が終わって、愛する妻に労ってもらおうと思っていたバルトだが、妻は相変わらず手厳しいようだ。

 今もこうして自分の正面に仁王立ち、腰に両手を当ててこちらを睨んでいる。

「どういうつもりか説明してもらいましょうか」

「い、いや、それはだね。なんというか……その」

「はっきり答えなさいよ!」

 エリザはキンキン声で怒鳴った。大柄なバルトが必死で身を縮めている。

「あなた昔言ったわよね。“僕には君しかいない、君意外には考えられないんだ。一生添い遂げたい。一緒になってくれ”って」

「ああ、言ったとも」

「それで、確かこう言ったわ。“もし君が死んでしまっても、僕は一生君の夫であり続ける”って……そうはっきりと言ったわよね?」

「……ああ、言った、けれど」

「けれど、なに?」

 エリザはずずいと前に乗り出す。

 返答を迫られてしまい、バルトは焦って上手く言えないでいると、痺れを切らしたエリザが大きく息を吸い込んだ。

 そして、それをめいっぱい吐き出した。

「この……浮気ものーっっ!!」

 殴られた衝撃でバルトは後ろにドタリと倒れた。

 その上を踏みつけて、エリザは走り去ってしまった。





 今の夫婦喧嘩をたまたま見かけたレッドが首を傾げる。

「あれは……バルト卿じゃねえか。なんであんな所にぶっ倒れてんだ」

「なんか、エリザ様がぶち切れてた」

 こう答えたのは、未だに小人のフードを被っているアークだ。どうやら柔らかいフードが気に入ったらしい。

「へー。ま、あの二人は特別仲が良いからな。また些細なことで揉めてんだろ」

 でもそんな場面あったか? と、また首を傾げたレッドにアークが答える。

「浮気したってさ」

「浮気? あのバルト卿が? ないない」

「だから、二度目の妃を迎えたことだって」

「……え。それ、だけで?」

「たぶん」


 物語の流れ的にどうしようもないことだろうに、それでもエリザの拳を受けたバルトは本物の漢だと思う二人だった。


 舞台裏C 終



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あきゅろす。
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