白雪姫17
その後・・・
「お兄様、私は炭鉱には行きません」
コウ姫が王子と一緒に城に行った、その数日後、すっかり旅支度を整えた高飛車な小人がそう言いました。
さすがにお兄さんも驚いています。
「そんな格好をして、これから何処へ行くというんだい?」
「私はやっぱりコウ姫の傍がいいの。だから王子のお城へ行くわ。きっとどんなつらい仕事だって耐えてみせるから」
お兄さんの眼鏡が一センチずり落ちました。
「いや……そんな勝手なことを言って、他の人に迷惑をかけでもしたらどうするんだい」
「全くだぜ。お前が抜けたら、オレたち、六人の小人になっちまうだろ」
そう言ったのは大柄な小人でした。
「七人だろうが六人だろうが関係ないわ! 気になるなら貴方達も来ればいいでしょう!」
そうして高飛車な小人は家を飛び出しました。
残された小人たちは、しばらく黙っていましたが、無口な小人が珍しくものを言いました。
「実は俺もあの王子様のお傍に仕えたいと思ったんだ」
今度は彼が家を出て行きました。
こうなってはもう、仕方がありません。他の小人たちはそれぞれ王子の城に出向き、陰ながらコウ姫と王子を助けることにしました。
それから、またしばらくたちました。
もし誰かが森に迷い込んだときは、天パの猪が道案内をしているといいます。
ついでに森の猟師も、それを手伝っているそうです。彼はときどき生きのいい牛や豚を調達しては、姫の実家から呼び寄せたコックに調理させ、コウ姫に絶品料理を振舞いました。
森の奥では、銀の野獣と小鳥が、コウ姫と王子が出会った森をいつまでも守っていました。
Fin...
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