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白雪姫12


 強引な救済


 コウ姫は家の中で大人しくしていました。ときどき小鳥たちと話をして退屈を紛らわしていましたが、どうにもうまくいきません。

 外に出たくてたまらなくなったコウ姫は「少しだけなら」と外に出ました。

 ところが、誰もいないはずの山奥だというのに、家の前に見知らぬおばあさんがいたのです。

「あなたは誰? どうしてここにいるの?」

「いえね、ここの小人の誰かが、このクシを落としていってね。届けにきたんだよ」

 するとコウ姫は感心して「とても親切なおばあさんだわ」と言いました。

 王妃はクシを渡すとき、わざとコウ姫の手に突き刺しました。それを抜く間もなく、毒が体に回ってしまい、コウ姫は顔を青くさせて倒れてしまいました。


「これでコウ姫もおわりだわ」


 意地悪な王妃はほくそえみながら城に戻りました。


 幸い、すぐに小人たちは帰ってきました。家の中で倒れているコウ姫を見て、小人たちは叫びます。

「大変だ!」

「コウ姫が毒にやられたぞ!」

「大変だ!」

 あんなに元気だったコウ姫がものも言えないほど衰弱していたので、小人の中でも特にコウ姫をかわいがっていた高飛車な小人が大慌てで駆け出しました。

 すると大変なことに、小人はひどく慌てていたので、途中の段差で転げてしまいました。

 どさりとコウ姫の上に覆いかぶさった小人は、すぐに飛び起きましたが、その衝撃でコウ姫は手から大量の血を流してしまいました。

「き、きゃーっ! ど、どうしよう! コウ姫が死んじゃうわ!」

 パニックになった小人が姫の体をはげしく揺さぶると、閉じたままだった瞼がうっすらと開きました。

「まあ! 生き返ったわ!」

「……ん、ここは……私はいったい」

「コウ姫、大丈夫? 私がわかる!?」

「うーん、血が足りない」

 コウ姫は貧血で倒れてしまいました。

 驚いたことに、血と一緒に毒まで流れ出たようです。

 貧血ならホットミルクが一番ねと言って、桃色の小人は牛乳を温め始めました。


 +++++


 城に帰った王妃は上機嫌で鏡に話しかけました。

「鏡よ鏡。この国で一番美しいのはだあれ」

『ああ、あなたですか。一番綺麗なのは……ええと』

 鏡はコウ姫が生きていることを知っていたので、思わず口の端を上げてしまいました。

「何を笑って……は! まさか、また?」

『お察しの通り、やはりコウ姫は世界で一番美しい』

 この瞬間に、ナティア王妃の顔は般若のように変わりました。

「もう、絶対に殺してやるわ。憎らしいコウ姫。この命に代えても、必ず!」



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あきゅろす。
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