もしもカルロが人間だったら 樹の精霊カルロ=本名カルディアロス 一応男、年齢不詳、たぶんS そんな彼が、もしも人間だったなら…… ここはティレニア軍事機関の一室。教官の部屋。 怪しげな暗幕を垂らし、窓から入る光の一切を遮断している薄暗いこの部屋で。 これまた怪しげな研究をしている教官が一人いた。 背は高い。180は超えている。髪は薄金、ストレート&超ロング。それを後ろで一つに束ね、数本の金糸が横からはらりと落ちる感じだ。 彼の名はカルディアロス。生徒達からは親しみ込めてカルロ先生と呼ばれている。しかし彼はそれに納得していない。「馴れ馴れしいガキ共ですね」と実は内心思っている。 そんな彼の運命の出会い。それは偶然、と言うよりは彼女の勘違いが発端だった。 ――――バンッ! 研究室の扉が無造作に開けられた。 カルロは大して動揺も無く、ちらりと入り口を見やる。 するとそこには一人の少女が立っていた。 「カルロ先生! 剣術を教えてください!」 元気よく叫ぶ少女は、活き活きとした表情でカルロを見つめた。 『――――』 カルロは何も言わなかった。 「先生お願いです!」 『――――』 カルロは、やはり何も言わなかった。 「カルロ先生が面倒くさがりの根暗のちょっとムッツリ入ってる怪しい先生っていうのは知っています! でも……剣術を教えて欲しいんです! お願いします!!」 『――――君』 「はい!」 『ここは魔導科ですが』 「――――えっ!?」 それは……思いっきり彼女の勘違い。 結論:カルロが人間だったなら、彼と出会う機会は無かったでしょう。 [完]07.11.17 前へ←次へ→ [戻る] |